技術部の壺の中 — Vol. 86 [シガレットアダプター]

The following two tabs change content below.

みのむしクリップ

主に電気関係で仕事をしてきたけれど、気が付いたとき、日本の電機の会社ってほとんどなくなっていた......... そんな需要のない今を 日々生きています。

最新記事 by みのむしクリップ (全て見る)

バッファローは、多くのものを扱っているし、メルコ時代や玄人志向で
お世話になっているので、不良と聞くと、とっても残念な気持ちになる。
でも、Amzonのレビューでかなり書かれているアダプターがある。
Buffalo製のBSMPS2401P1BKだ。
ラジオやテレビが受信出来ないとか、ノイズが多いということかと思う。
実際どうなのか。

仕様としては、5V / 2.4Aの出力のシガレットタイプのアダプター。
入力12V / 24Vと車やトラックに使用でき、iPhoneとAndroidの
USBチャージャーの規格に合わせた自動切り替えで、電流量を多く送る
事ができる様だ。(iphoneは、USBの信号に適当な抵抗値でプルアップと
ブルダウンを行う。Androidに対しては、信号線[D+/D-]をつないでいる
ように見せて、専用アダプターのように見せる。)

仕様としては結構、凝った仕組みだ。しかも小さい・・・。
小さいのは、あんまりいい気が実はしない。
エネルギー貯める、コイルとコンデンサは、ある程度大きい方が安心感が
ある。古い人間だからね。小さいのはちょっと気になる。
まあ、最近の電源は、スイッチングがうまく出来ていれば、
問題は無いけど。

で、測定しました。
・・・・・・ああ、見た目ノイズがひどいです。
写真の上下の白い線が、USBの電源としての合格ライン。
4.75V~5.25Vだけど、ノイズは、4.1Vぐらいまで下がってる。
周波数としては、ノイズの間隔が650KHzや310KHzで立っているので、
動作周波数はこのいずれかと思う。多分低い方だから、310KHzかな。
ラジオには、この高調波が出てくる感じだけど、ちょっと低すぎる。
ノイズの一波形の周波数は、33.3MHzなので、これが高調波で見えると
ラジオの周波数になるかもだけど、テレビには大分低い。

アダプターのノイズが、アンテナに入るというよりは、電源からの
変動で、受信がおかしくなる感じじゃないかなとは思う。
ただ、その経路は遠いから、やっぱり高調波なのかな・・・。
とにかく、規格外の電源。スイッチングの発振ノイズがひどい。
平滑回路を直せば、どうにかなりそうな気がする。
今回は、安定化電源で測定したので、入力ノイズはほとんど無い。
だけど、車につけて使うと、車自体がノイズ源だから、どうなって
しまうんだろう。
アダプターには、ISO 7637-2 / ISO 16750-2 って書いてある。
これは、入力電源に変動があっても、出力側に決まった以上の
大きさの電圧変動は出ないですよ見たいな、
いわば「勇者の証」の試験なんだけど、確かに判定の1.2uSという幅が
問題で、確認されているノイズの幅は、長くて0.4uS程度。
この試験では無視される。
でも、みんな実害あるって言ってるしね。
嘘は言っていないだろう。実際ノイズが多いから。

問題有りなの、ないの?? ところが、収束しない。
まあなんとも締まらない結論。

そうそう、測定時の負荷は0.8A程度なので、そこそこの負荷。
それでアベレージ4.9V程度。
負荷がかかると大抵電圧は高くなるのがこの手の電源では多い
傾向だけど、この電源は低くなりそうな予感。
だから、充電が停止したり、また始まったりを繰り返すことは
起こるかもしれない。

アダプターの不具合の問題は、多いと思う。
それは、スマホのような電波を使い、更にノイズを嫌ったり、
USBからの電量は馬鹿食い。と言う電子機器は、昔の基準の
電気のガイドラインが役に立たない。
ポータブルコーヒーメーカーやシェイバーは、問題が出ないと
思うし、PC電源の様な物も問題が出ないだろう。

不要輻射という小さな電波ノイズで影響が出る機器、
VCCIぐらいの管理でないと影響が出る受信機は、
車のアダプターのISO基準なんで意味をなさない。

そう言う環境で扱えない機器だから。
デジタル処理している機器はいい。エラー訂正が働いて
どうにか処理される。CDの信号とかは読み込まれる。
だけど、アナログ信号のノイズはとれない。
オーディオや電波にノイズが乗って、受信が乱れることになる。
問題はそのレベルなんだけど、1.2Vp-pぐらいのノイズ。
デカい。規格はDC5Vだからね。
電源としては時間が短いノイズは無視できるのかもしれないけれど、
電子機器にとっては、多分問題が出ているのだと思う。
実際に機器のどの部分に影響が出るかは、それぞれ調べないと
正しく言えない。33.3MHzって、昔のPCIバスクロックだよなぁ。

関連ブログ
技術部の壺の中 — Vol. 68 [リチウム電池ばらしました]
技術部の壺の中 — Vol. 69 [リチウム電池の中]
技術部の壺の中 — Vol. 70 [どうにかしてよ。アダプター]
技術部の壺の中 — Vol. 72 [ACアダプター分解しました]
技術部の壺の中 — Vol. 73 [珈琲メーカー分解しました]
技術部の壺の中 — Vol. 76 [膨れる電池の見分けかた]
技術部の壺の中 — Vol. 77 [夏はEスポ]
技術部の壺の中 — Vol. 81 [メディアソースの交代??]
技術部の壺の中 — Vol. 82 [ペッパー君、ゴーホーム]
技術部の壺の中 — Vol. 83 [みちびきに期待しすぎ]
技術部の壺の中 — Vol. 84 [ロジックと比較と言葉遊び]
技術部の壺の中 — Vol. 85 [左手の箸、操縦と慣れ]

スポンサーリンク