技術部の壺の中 — Vol. 76 [膨れる電池の見分けかた]

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みのむしクリップ

主に電気関係で仕事をしてきたけれど、気が付いたとき、日本の電機の会社ってほとんどなくなっていた......... そんな需要のない今を 日々生きています。

すべてじゃないけど、この方法でいくつかは分かると思う。
膨れるバッテリーの見分け方は、満充電が完了して止まったときの電圧を測る。
この時点で、大体4.1V前後。
そのまま、一週間放置。
電圧が、下がっているようだと、寿命が近づいている。
下がり方次第。

[準備するもの]
充電セットとバッテリー(要するに、今ある機械です。)
テスター
————-
テスターって、別に安くても良いけれど1000円以下やその近辺のものは、
ちょっと注意した方が良い。
基本、安いものは、アナログ式の針の方が正確だ。ただ、下の欠点がある。
・プラス、マイナスの極性をちゃんと確認する。
・測定のレンジとモード(電圧測定)を合わせる。
・測定の端子を見て、モードにあった所に電極棒を入れる
・バッテリーの値を直接測るので、テスターの内部抵抗も無視できない。
・5Vレンジの場合はそこそこ正確に測定できるが、10Vレンジとかだと
読み取り誤差から不正確になる。(0.5V程度の変化を測るため)
・コイルが稼働するので、実効値的な表示になる。
・測定環境(傾きや周囲の磁気)に注意

という問題があるので、もう信じるしかないけれど、
安いデジタルテスターを使う方が、初心者にはよい。
今の時代、テスターが使える人は初心者とは言わないんだろうな・・・。
————-
後は、充電したての電池の端子の電圧を測る。
スマホとかのバッテリーは大抵3つの電極があって、真ん中に『C』って
書かれている。ここには、『-』の端子との間にサーモセンサーがついていて、
10Kぐらいの抵抗値がある。いかさまは、10Kの抵抗つけていることもある。
20度環境だと、9Kオームぐらいかな。

電圧を測るのは、『+』と『-』間。
抵抗も何もつけずに、テスターで電圧を測ろう。
電池の測定は負荷抵抗をつけて測るのが良いけれど、
この場合はそのまま計測します。
電流レンジで測るとテスターが壊れるから注意。
電圧は、充電した後だと4.0V~4.2Vぐらいの所になっているはず。
30分ぐらい経過した時の電圧は、あまり変わらないのが正常。
3.9Vを切ってくると、その電池はもともと充電時にうまく充電
されていなかったので、古くなっている電池。
ただ、このモードはSEI層が厚くなったパターンなので、膨れにくい。
では、一端放置して、
3日~一週間後にもう一回測ってみよう。
リチウムイオンバッテリーは、半年ぐらい、電池に表示されている電圧を
維持できる。50%充電で保管の場合、この電圧が読めるはず。
短時間で電圧が下がることはない。
だから、始めに測った電圧とそれほど変わらない電圧が読めるはず。
この時点で電圧が下がっているのはやや怪しい。
ダメ電池予備軍だ。
3.8Vとかになっているのは、まあ怪しい。
膨れる可能性が大きい。

ただ、あまり気にしないで欲しいことは、電解液との絶縁において、
カーボンやSEI層に多少のホールはありえる、使用でわずかに膨れる
からといって、すぐに使えなくなるという事も無い。
危ないという事も、内部放電で電極がくっついて発熱するとか、
電気が流れることに夜発熱、内部の短絡、金属粉の混入などの
重度の問題で無い限り、膨張自体はあり得る。
だから場合によりけりという認識で扱って欲しい。
ちょっと膨れる、不良だ!! なんて、あんまり判断を急いで欲しくない。

大体の電池は、3.7Vとか3.8Vって電圧表示がされている。
死にかけている電池は、一週間後の電圧が下がっている。
始めに電圧が下がった電池も、ここで電圧が3.7Vを超えていれば、
膨れない電池だ。ただくたびれて、SEI層が厚くなっている。
3.7V以下だと、多分膨れていると思う。
これは通常120mオームというバッテリーの内部抵抗が
高くなっているからだと考える。
SEI層が破れているから、バッテリーの電力が内部の電解質の分解に
使われている。
だから膨れる。
そして、バッテリーの電圧は、ドンドン下がっていく。
保護回路は、3V以下にならないように放電を停止するが、
バッテリーパックの中で起こっている低下は保護できない。
2.5V以下になると、電極が使い物にならなくなる。
だから、電圧が出ていない電池は、捨てた方が良いです。
意外と簡単でしょ。

と、ここで大どんでん返しだけど、これは携帯とかの電池の場合。
例えば、バッテリーが半日とか保つバッテリーとシステムの場合。
モーターとか、玩具とか、
短時間で放電して、一気に電圧を出すバッテリーは、
電極の表面積で電流をたくさん流すことを実現している都合上、
電極の面積が広い =(イコール) 漏れ出す電流が多くなる。
結果、電圧が下がりやすい要素を内包している。
でも、どこで電気を消費しているのかと言えば、内部で消費して
いる訳で、電圧が下がると言うことは膨れるという話。
といっても、そんな電池を使う人は、特別な人達なので、電池の性格も
良く判っていると思う。
だから、あまり問題にならないと思うけど、すべてじゃないと言うことを
念のため。

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