技術部の壺の中 — Vol. 89 [老舗なんて関係ない]

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みのむしクリップ

主に電気関係で仕事をしてきたけれど、気が付いたとき、日本の電機の会社ってほとんどなくなっていた......... そんな需要のない今を 日々生きています。

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パナソニックの中古のデジカメを使っている。
レンズ付きで1万しないで買った物だけど、結構使える。
交換レンズはマイクロフォーサーズの仕様だ。
そのパナソニックが新たにレンズを発売した。
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パナソニックは6月3日、マイクロフォーサーズ規格の
ミラーレス一眼カメラで利用できる交換レンズ
「LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7 ASPH.」
(H-X1025)を8月22日に発売すると発表した。
価格は27万円(税別)。
35mm判換算20~50mmをカバーする広角寄りの標準ズームレンズ。
ズーム全域で絞り開放値F1.7の実現は世界初だという。
「1本で大口径単焦点レンズ5本分(20mm、24mm、28mm、
35mm、50mm)の焦点距離をカバーする」とし、
重量も約690グラムと軽量に抑えた。
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広角から標準までカバーして、F1.7と明るいレンズを自社ブランドで
発売するのはすごいことだと思う。
これが、精密機械で難しいレンズの組み立てなのだから、
以前からレンズを作っていたメーカーも驚いていると思う。
老舗のお家芸が、浸食されている感じを受ける。

カメラは、ラフに見えてラフでは無い。
フィルムのところで位置が少しでも変わってしまうとピントが
合わないので、フィルムを押さえる部分も重要だった。
レンズは円形だけど、フィルムは四角いので、四隅の端まで
明るく均一にすることも難しかった。
真ん中は明るく、端は暗くなるから。
そんな努力を経て、老舗がブランドとしてカメラを世に出していた
けれどデジカメ化で、一転する。
でも、基本はフィルムだけの違いだったんだけど。
特色は、CCD/CMOSの受光部分とレンズ。
シャッター性能や機械性能は、昔のフィルムカメラの時は重要だったけれど、
今やそれはCMOSの性能と一体で、CMOSのデータに引っ張られてしまう。
レンズは、資産として受け継がれるところが大きいので、この要素は重要だ。
ニコンはその恩恵の最たる物だろう。

ただ、デジカメ一眼時代にこれを揺るがす要素が受光部分のサイズ。
いま、35mmと同じサイズになってきた事により、かつてのレンズが
使える可能性が出てきたが、マイクロフォーサイズという始めに紹介した
レンズは、対象のフィルムに当たる部分のサイズが小さい。
結果、明るく均一に作りやすくもなっている。
それは、逆に老舗がやってこなかった部分でもある。
かつてのカメラメーカーが、デジカメのはじめは必ずしも有利では
無かったのだ。だから、同じ条件で開発をする老舗は、苦しんだと
思う。こんなはずじゃなかったのに・・・・。そんな気持ちじゃ
無いだろうか。もっと難しい条件で、レンズを作ってきた意地があるのに。
でも、それはユーザーから見たら、解らない。

トイレと言えば、ToTo。
だけど、昔にToToが作ったウォシュレットTCF610は、
デロデロな茶色い物体が溶け出して、ユーザーが困ってる。
基板の防水剤とネットで書かれているけれど、樹脂が経年劣化で溶けだして、
便器がデロデロになる。
ToToは瀬戸物のトイレは作っていたけど、ウォシュレットは畑違いだ!!
って叫びたいに違いない。
老舗が老舗で有り続けるための変なジレンマ。
時代が変わって、扱いが変化する社会で、当たり前と言えば当たり前。

老舗で有り続ける事は、伝統よりもハイテクを取り入れる事が、
昔から行われてきた重要な要素であると思う。
だからその時の業界のトップに立ち、次の世代に続けていける。
そして、老舗として続く。
老舗が行うことは、伝統を守ることでは無く、常に「とんがっている」と
思う。

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