技術部の壺の中 — Vol. 50 [避雷針と雷の話]

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みのむしクリップ

主に電気関係で仕事をしてきたけれど、気が付いたとき、日本の電機の会社ってほとんどなくなっていた......... そんな需要のない今を 日々生きています。

「避雷針って、雷落ちそうだよねぇ。」
最近雨が多い天気を気にしてか、夏や梅雨がまだ先だけど、電車の中で
話している人達がいた。
高いところに雷は落ちると聞くしね。
真っ先に落ちる感じはする。でも、
避雷針は、字のことく、「雷を避ける」という意味だ。
そもそも、雷って、何?って話もある。

氷の粒が雲の中でこすれ合って、静電気がたまって、
地面と放電するのが雷だよ。そう聞いたことはあるかもしれない。

確かに氷がこすれて静電気が発生するかもしれない。
静電気は、物質同士をこすったときに、
余ったエネルギーと一緒に電子が散歩する現象。
もと電子がいた物質は、空席が空いた状態になるので、
相対的にブラスになった感じになる。
じぁあ、その分かれたプラスとマイナスが
雲の中で放電すれば良いじゃん。
実際に、雲の中で放電する場合も有る。
だけど、地上にも落ちてくるのはなぜ??
って、疑問があるし、子供でもこの疑問は持つと思う。

でも、雷がなぜ発生するかについては、正確には分からないらしい。
あくまでも説のレベルだとか。
では、気兼ねなく、説レベルで説明したいところ。

大体、静電気で電気が発生するところは正しいのだろうと
思う。ただ、雲の中で放電が意外と起きないのでは、
雲が存在している場所の問題だと思う。
雲は、空気中の水蒸気が見えているだけなので、寒い場所。
水分が凍る場所は基本的に湿度ゼロ。
つまり、とっても乾燥している。
電気は、水分がある場所では、流れやすい。
それは、言葉を換えると電離している物質(水蒸気)がある場所は、
流れやすいってことだと思う。
雲の中は乾燥していて、電気が流れにくい場所なんだろう。
その中で、氷がぶつかり、氷同士がくっついて重くなっていく。
同時に静電気が発生し、乾燥して行き場がない。
電子は氷にくっつき、一緒に下に落ちていく。
下に落ちると暖かいので、水になり雨に変わる。
この時、電子は氷から解放され、雲の下の方に集まる。
上の方には、水蒸気の上昇に押し上げられたプラスな物質が
集まるが(ブラス電子とか、言い方がないため)、雲の中の
乾燥した所があるので、マイナスの存在に気がつかない。
絶縁的な空気がいるので、他界を寄せ合う電離した物質がない。
仲介役がいない。


一方、雲に高い電圧のマイナスがたまると、雨によって部分的に
電離した物質の影響で、地面側に分極しプラス化した物質が
雲の有る方に集まり、増えていく。

ここで、電気の放電について、
放電は、ストリーマー放電とバルクハウゼン放電の2種類がある。
(今、閉館中の電気の資料館より)
日本では、高い電圧を掛けたときの絶縁破壊と雪崩放電といわれ
ていたもので、ダイキンの空気清浄機では、「ストリーマー放電」
の言葉を使っている。
高い電圧を掛けると、絶縁体の空気でも飛び越えて放電するのが、
ストリーマー放電(絶縁破壊)。
静電気は1万ボルト1cmの距離を放電という感じ。
バルクハウゼン放電(雪崩放電)というのは、高い電圧のそばの物は
影響を受けて、電離しやすい。もしくは絶縁破壊で、それにより
発熱が起こるとプラズマ化して電子がはがされやすくなる。
そうして、高い電気が通ったことにより発熱して、周辺の物質が
熱を帯びて電子がはがされ放電、と、雪崩的に連鎖して放電が
進む絶縁破壊をいう。

放電って、こういう感じで、結構面倒くさいし、距離があると
放電しない。だから、普通は地上に放電しない。
地上の電荷が雲のマイナスに地上のマイナスが反発して、結果、
地上の方がプラス寄りの物質が増えていくことで、
「プラスとマイナスは仲が良い」ってまるで男女間の関係の様に
引き寄せられて、二人の間に物理的な距離は有るけれど、
電気的な距離は極端に狭くなって、放電する。
それが、雷。

本当なら放電しないけれど、プラスとマイナスの力で
物理的な絶縁の距離を電気的に放電出来る電圧まで
情熱的に超えてしまうことなのだ。

そこで避雷針の出番。
たとえ情熱的なプラスが地上にあっても、地中から引かれた
電線によって、電荷がない世界をプラスとマイナスの間に
作ってしまう。
そうすることによって、プラスとマイナスは、引き離されて
放電が出来なくなる。
こういう効果で、雷を落ちなくする。
ちょうど、雲の中のプラスとマイナスの関係に似ている。

でも、避雷針の横には、プラスがあるので、避雷針の横に
放電する可能性はある。
むかしは、この角度が、避雷針を見上げて45度ぐらいと
設定していたけど、最近は避雷針を見上げて60度ぐらいに
見える範囲しか守れないらしい。
実際、国会議事堂の避雷針のすぐ脇の大理石に落雷した
ことがある。
このことから、避雷針には落ちないって証明も出来たかも
しれないけれど。

でも、これは避雷針で落ちにくくなるというはなしで、
避雷針が間に入って阻害できないぐらい雲に電荷がたまると、
やっぱり一番近い避雷針に落ちてしまう場合はあるけどね・・・

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