技術部の壺の中 — Vol. 105 [USB電源とスマホ]

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みのむしクリップ

主に電気関係で仕事をしてきたけれど、気が付いたとき、日本の電機の会社ってほとんどなくなっていた......... そんな需要のない今を 日々生きています。

よく聞かされるスマホの電源関係の不満は、
・充電時間が長い
・すぐ電池切れをおこす
・バッテリーが熱くなる
・充電中に使っているとかなり熱い
・さっきまで20%だったのに、もう7%とかいってる
・バッテリーが膨れる
などなど。

知らない人達は、「こうするとOK」って具合に
[それぞれの勝手が違う事象を紹介]して、混乱に導く
社会貢献を行う。
まるで、バベルの塔の話に出てくる神が共通言語を
破壊した時の様な混乱が引き起こされている。
オカルティックな臭いがする。

スマホの充電に時間がかかる現象の原因は、いくつか
ある。USBを使って充電しているので、USBの規格は
最大500mAが規格の値。
一方でスマホの電池容量は3000mAhとか。
単純に500mAで割ると、充電完了に6時間もかかる。
あり得ない。実際そんなに時間がかからない。
USBのコネクターにスマホの充電に必要な電流の規格の
3倍以上の電流をながそうとすると、電源が壊れてしまう。
充電元がPCだったら大損害。
PCには大抵保護回路が入っているけど、昔から使われている
USBすべてが、そんなにたくさんの電流を流す体力がない、
かもしれない。
だから、スマホはUSBの電源を壊さないように、
ビクビクしながら電源を使う。

始めにちょっと打診して、
「ああ、USBコネクターだ。信号は使えるかな?」
と調べる。この信号が使えるかが大事なポイントだ。
次に、信号が読めず、規定のルールでは無い場合、
250mAや500mAを最大消費の電流と決めて、充電を始める。
ここがポイント。
■信号線が繋がっていないUSBケーブルを使って充電すると
少ない充電量になって、時間がかかることになります。

100均とかで売っているUSBケーブルで、電源しかつながって
いない物が有る場合は、そう言う現象が起こりえます。
高ければ良いのかというと、最近の電気店は知識がないのか
モラルか最低なのか、100均レベルの物を平気で高額で店に
ぶら下げているので、よく見て買ってください。
勿論、100均のケーブルでも、信号が繋がっているケーブルは
利用できます。

次に、信号がつながっていても、
iPhoneは信号の線に決まった電圧がかかっているかを調べ、
USB電源からたくさん電気を使っても良いか判定します。

だから、このルールに合ったACアダプターが必要。
100均の「iPhoneで急速充電ができるよ」ってコネクターが
あるけど、中に抵抗が入っていて、電源から適当な電圧を
信号にながしてくれている。
だけど、そもそも対応しているアダプターやケーブルをつかい、
更に100均のコネクターを使うと、訳が分からなくなるので、
「全部対応品を使っているのに!!」
と、言っても、充電は遅くなることがある。
シンプルにいこう。

[iQ]表示のアダプターは、対応しているので、普通に信号が
つながっているだけのケーブルを使おう。
アンドロイド端末も、同じように信号線を見る。
iPhoneと同じだけど、アンドロイドは信号同士の線が
ショート(短絡)していれば、1.5A流せるって宣言している事に
なる。

信号の識別はこのような感じだけど、次にアダプターが
1.5Aの容量があるかどうか。
1.5Aというのは、Android側のルールから言っているけど、
iPhoneは違うかもしれない。
世の中では、2.4Aの規格の物が多いので、そのあたりが
閾値なのかもしれない。

でも、この2.4Aの表記で、1.5Aの供給が出来ない物も多い。
メーカー品と信じたいメーカーの物でも、1.5A出力すると
USBの規格電圧、5Vを下回る物が結構ある。
それを簡易テスターとかで測ってOKとかせず、1000円とかの
安いテスターで良いから、ちゃんと電圧を測って使おう。
一応、使う前に。
ほんとアダプターは、粗悪品が多くて困る。
PSEとか書いているけど、あれって主張だけだから、
電源の質については何もなし。
火が出たとかそういうことだけに関係してくる。
使えない・・・。

また、さっきの信号のルールは、アダプターが電流の供給が
十分に出来るよ!! って、スマホに教える仕組み。
それを見て、スマホは、「よっしゃー。ガツガツ消費します。」
と言う動きになる。
なので、1.5Aも供給できないアダプターに電流値をだます
仕組みのケーブルやコネクターを使うと、
アンドロイドスマホが1.5Aも消費しようとするので、
アダプターが「無理!!」って、宣言して、電気を停止する。

停止すると、スマホもアダプターが繋がっていないと思い、
消費を停止。流れが止まると、アダプターが復活して、
また電気を出して、→無理!! 、停止→ 充電停止→ 復活・・・
と永遠に繰り返し、充電が全く進まない。

まあ、表示が嘘だったりする性能のアダプターもあるわけで、
なんとも言えない。
取りあえず悩んだら、ANKER製を買おう。
にた名前でAUKEYと言うメーカーがあるけど、それとは違う。
ANKERだ。
マジで、問題が少ない。
別に回し者じゃないけど、ホント世の中には粗悪品アダプターが
多くて、ANKER製品は神様に見えてくる。

あと、USBアダプターの仕組みとしては、
クイックチャージ対応のアダプターがある。
どんだけ消費者に勉強させるのか!!って感じだ。

クイックチャージは、2.0や3.0って規格が出ているけど、
Qualcommって会社の規格だ。
世の中のいけてるアンドロイド携帯はQualcommのCPU(SoC)を
つがっているので、使える機種も多いと思う。
今までは、USB電圧が5Vだったけど、充電に時間がかかるので、
電圧を上げてしまおうって仕組み。
クイックチャージは、USB電圧を
「始め5V、通信して9Vや12V。」に電圧を変える仕組みの
アダプターだ。

これもスマホとアダプターで通信した後、電圧を変更するから、
信号線が繋がったUSBケーブルを使用しないと使えない。

あと、都市伝説編として、
バッテリーがなくなって停止したスマホを充電する場合、
そのまま起動せずに充電した方が良いのか、起動して充電した方が
良いのかと言う話が合ったり。
→これは、起動ができるなら、起動して充電した方が良い。
バッテリーを充電するICの動作が最適に設定されるから、
充電のスピードが上がる可能性がある。
起動しないと、チャージャーICの設定だけで充電している場合が
あり、その場合トラブルが起きないように静かに充電する。

こんなに複雑な電子機器をすべての人が使いこなしている現実が
超絶神秘的で感銘をうける。
人は何でもこなすことができるんだね・・・。

日本は昔、電源に真剣だった。
きれいな電源を作る事が競争だったりした。
それはオーディオの時代からの残留思念だったと思う。
PCのデジタル時代にも、アンプはアナログだったので、
ノイズ音を消すために、生き続けていた。
それが、デジタルのダイレクトコンバージョンとかの手法や
デジタルアンプの出現と共に、汚くなり始めた。
今では、規格いっぱいまで電流が出ない。

品質は誰が決めるかは、消費者だから、消費者がこの不具合に
ストレスを感じていないと言う事だと思う。
でも、1000円で不具合品を複数買って、更にスマホもダメに
する事もあるなら、3000円払って1個を3年使った方が、
ストレスはないと思うけれど・・・
その選択は、どうやら支持されない。

日本だけに右ハンドルの車が走るように、
日本だけがガラパゴスでも何も問題はない。
問題が起きない物を正当な金額で買い、使う事が一番良い。
さらに残念な事に、日本で売られている商品は300円も
1000円も変わらない品質で有る場合があることだ。
だます人と、だまされる人が多すぎる。

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