技術部の壺の中 – Vol. 133 [アンバサダーの恐怖]

The following two tabs change content below.

みのむしクリップ

主に電気関係で仕事をしてきたけれど、気が付いたとき、日本の電機の会社ってほとんどなくなっていた......... そんな需要のない今を 日々生きています。

最近は、『アンバサダー』とか、『ソムリエ』とかの言葉を多く聞く。
野菜ソムリエ、家電大使、家電アンバサダー、スマホアプリ・ソムリエ・・・。
もう、何が何だかわからない。
指導してることも、『裏技』的な話で、特に根拠もないものもある。
「便器はお湯で洗うと汚れが取れます」
という情報から、熱湯をかけて陶磁器製の便器をが割れた!!!、というトラブルも聞く。
彼らには物質の持つ膨張係数とか、科学的なベースラインが存在しないので、『やってみたら、できた』という、STAP細胞のような根拠で提唱されているので、家電メーカーが考える副作用などの不具合を考慮しない。だから、間違った思い込みから、間違った言動も生まれやすい。

最近になって驚いたのは、エアコンの室外機のカバーだ。
なんか、保冷のカバンとかについている銀の断熱材に、ファンの部分だけメッシュになった袋に室外機が包まれていて、しかもガンガンに動作していた。


マジか!!! と思って目を疑ったけれど、ググってみてさらに驚愕した。
なんと、室外機を袋に入れるのはおしゃれでOK って書いている人が多いこと。
マジかよ。NGに決まってるんじゃん。
エアコンの仕組みを知っているのかい。
エアコンは、外気の気温を利用して、
冬は、熱交換用のガスを室外機で圧縮して、発熱したその状態のまま室内に引き込んで室内で放熱。
室外機に戻ってきた後は徐々に膨張してガスが気化し、気化熱として室外機周囲の空気の熱を奪う。
当然、この時に凍り付いてしまうため、ファンを回して凍らないように周囲の空気で室外機を温める。
という仕組みで、周りの大量の空気がないと役割を果たせない。
ファンを回すことで、大量の大気熱を変換することを期待している。

だから、日影とか、じめじめした場所は、夏場有利かもしれないけれど、関係するのは空気なので、空気の流れが悪い場所が最悪条件になる。
とにかく風が当たったほうが効率が上がる。
枯葉を吸い込まない様にとか、室外機が寒くならない様にとか、保温して温かいのは哺乳類だけで、室外機を包んでしまうと、冷蔵庫の中のような状態を作り出していることになる。
風がさえぎられて、室外機が思うように温まらない時は、室外機が冷えて霜がついてしまう。
室外機は、凍結防止装置がついているので、一時的に運転を停止するというとが発生する。
当然、室内は暖まらない。
冬場に、風で室外機を温めていることを理解していないから、室外機を温めないといけないと、勝手に考える。

夏場はその逆で、
室内でガスを気化させて、室内の熱を奪う。
室外機では、そのガスを圧縮して発熱した熱をファンで冷す。この時の温度は、外気温よりずっと高い温度になっている。
だから、厚い夏でも外気によって冷やすことができる。
大量の風が不可欠。
周囲をふさぐと、何もいいことはない。
しかも問題は、室外機カバー必要論者の意見の方が圧倒的にネットでは多く引っかかること。
これ、ググったら騙されてしまうよ、レベル。

きっと、『電車の中ではカバンを前に装着』と同じように、時代が変われば騙されていた案件になると思う。

「じゃぁ、夏は室外機を水や氷で冷まして、冬は室外機周辺を太陽が当たるように温めればいいのですね。」
そういう人がいると思うけれど、
『エアコンを使って間接的に熱を交換しないで、自分に直接、氷を食べたり、太陽の光で温めたりするほうが、よっぽど効率的だ。』
と思う。
何かを使うとか、あまり考えずに、もっとシンプルにヤレばいいと思う。

CASIOさんが、電子辞書の新規設計を行わないという報道があった。
売れないから、というのが理由だけど。
この電子辞書が必要かどうかについてになると、ネットの信者の割合は、半々になる。
これは利便性の要素が強いから、どちらとも言いにくいけれど、スマホの辞書は辞書ではないことを理解してほしい。
情報が誤っていたりとか、そういうこともあるけれど、スマホはネットワークの情報を表示している、ただのTVモニターのような存在。
スマホの中に情報があるわけではなく、スマホは通信を使ってネットワークに存在する情報を表示するモニターという機能。
だから、スマホ自体は弱いので、辞書アプリを入れたりした方が良い。
辞書アプリを使うのは、電子辞書と同じ機能なので、全く甲乙つけがたい。
スマホは、そういったアプリを使うことで、多様性があるといえるけれど、『辞書アプリを入れる』というとを行わないと、やや弱い気がする。

すべての物には、環境に適応した姿の上で有効がどうかを判断すべきで、アンバサダーよりはるかに広い視野で、真剣にメーカーの担当者達は考えていることを知ってほしい。
それこそ、『ニワカが何を言う』って気持ちに担当者は感じるかもしれない。

関連ブログ
技術部の壺の中 — Vol. 61 [doueな事は、しらない]
技術部の壺の中 — Vol. 62 [電子翻訳機]
技術部の壺の中 — Vol. 63 [DNAの叫び]
技術部の壺の中 — Vol. 64 [DNA2の叫び]
技術部の壺の中 — Vol. 65 [DNAと新たな幕開け]
技術部の壺の中 — Vol. 66 [i-dioの叫び、こっそり3セグ]
技術部の壺の中 — Vol. 67 [誤解した日本人達]
技術部の壺の中 — Vol. 68 [リチウム電池ばらしました]
技術部の壺の中 — Vol. 69 [リチウム電池の中]
技術部の壺の中 — Vol. 70 [どうにかしてよ。アダプター]
技術部の壺の中 — Vol.71 — [新規事業支援]
技術部の壺の中 — Vol. 72 [ACアダプター分解しました]
技術部の壺の中 — Vol. 73 [珈琲メーカー分解しました]
技術部の壺の中 — Vol. 74 [googleの線上の関係]
技術部の壺の中 — Vol. 75 [LPWAが話題らしい]
技術部の壺の中 — Vol. 76 [膨れる電池の見分けかた]
技術部の壺の中 — Vol. 77 [夏はEスポ]
技術部の壺の中 — Vol. 81 [メディアソースの交代??]
技術部の壺の中 — Vol. 82 [ペッパー君、ゴーホーム]
技術部の壺の中 — Vol. 83 [みちびきに期待しすぎ]
技術部の壺の中 — Vol. 84 [ロジックと比較と言葉遊び]
技術部の壺の中 — Vol. 85 [左手の箸、操縦と慣れ]
技術部の壺の中 — Vol. 86 [シガレットアダプター]
技術部の壺の中 — Vol. 87 [車と言うNECのドローン]
技術部の壺の中 — Vol. 88 [ビーコンって、どう?]
技術部の壺の中 — Vol. 89 [老舗なんて関係ない]
技術部の壺の中 — Vol. 90 [ソニー魂、DNAって??]

スポンサーリンク