技術部の壺の中 — Vol. 39 [農業 – 解像度と画面の大きさ]

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みのむしクリップ

主に電気関係で仕事をしてきたけれど、気が付いたとき、日本の電機の会社ってほとんどなくなっていた......... そんな需要のない今を 日々生きています。

「マルチスペクトルカメラって、普通のカメラで出来るのでは?」
多分、そう思う人がいるはず。
普通のカメラもR、G、Bの3色フィルタを持っているので、
RAWデータをそれぞれ分ければ良いはず。
それはある意味正しい。でも、難しい点がある。
(これは全部私の勝手な想像)
・JPEGではなく、RAWデータを保存するため
伝送レートがあがる
・近赤外線(NIR)や赤外線(IR)のカメラを別に用意する
必要が有る。そのデータをほかの色のカメラと合わせて
使えるように、データの時間やメデイア統合をしないと。
という点から、結局作るとなるとハードルが低い方が良い。
それに、普通のカメラは耐久性を高めるためにハウジングの
重量が大きい。できるだけ軽い素材が良い。そう言う問題が
あると思う。
それに、
マルチスペクトルカメラは大雑把な撮影で良いから、
解像度はあまり問題にならない。

じゃ、はじめの害虫を見つけるのは解像度がどうなのか。
虫見板に書かれたいたウンカは成虫で5mm程度の大きさ。
とっても小さいし、葉の汚れやシミと見分けがつかないと
いけない。
それを判別するためには、解像度という問題が出てくる。
一般的に識別に必要な解像度は、38~42ドット必要らしい。
勿論、多い方が良いけれど、最低どのぐらいかという話。
これを4mの車に考えると42ドットで10cmの枠で車を
表現することになる。
車のエンブレムやナンバーは無理、メーカーも分からない。
でも、虫はそんな細かな模様まで知る必要は無いから、
車の形で車種が分かるぐらいかどうかの判定になる。
まあ、車種ぐらいは分かると思う。
立体で有るかシミであるかは、やや難しい。
42ドットでも結構ギリな感じがする。
私の確認から48ドットぐらいだと結構良いと思う。
まあ、42ドットと仮定した場合、5mmの虫を
縦42ドット、横42ドットで分割するしたら、
どのぐらいのイメージセンサーが必要になるかという試算が
必要だ。イメージセンサーは正方ではないので、画素が少ない
縦のラインで想定すると、


つまり、40cmの範囲をカメラで撮るくらい近づかないと
いけない。そのぐらい近づけるカメラはマクロレンズになるし、
望遠で近づいたとしても、ブレが大きくなったり、重くなる。
それなりに特別なカメラが必要になる。
5mmの虫を見つけるのは、結構難しい。
だから、あまりはっきりとでは無く、
「なんか作物に点がついている。」
という、目星をつけて虫を探すことになると思う。
最新の4240万画素(7952 x 5304)でも63cmなので、
新聞紙1枚の広さを撮影して虫が確認出来るという感じに
撮ることが出来る。ある程度の高画質が必要という話。

また、図を見ると分かるが、イメージセンサーにはセンサーを
つなぐ「枠」みたいなスペースが必要で、図のようにマス目が
増えると、面積の中の「枠」が占める面積も多くなる。
つまり、イメージセンサーは、画素数が増えることにより
センサーの受光部分の面積を大きくしないと、真の解像度が
高い画面が得られにくいと言うことになる。

関連ブログ
技術部の壺の中 — Vol. 35 [農業革命?? 虫探しは大変!!]
技術部の壺の中 — Vol. 36 [農業革命?? ドローンの問題]
技術部の壺の中 — Vol. 37 [IT農業 マルチスペクトルカメラの仕組み]

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