2020年指定図書- 「キャパとゲルダ」vol. 1

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みのむしクリップ

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主に電気関係で仕事をしてきたけれど、気が付いたとき、日本の電機の会社ってほとんどなくなっていた......... そんな需要のない今を 日々生きています。

2020年今年の高校生向けの読書感想文の指定図書は「キャバとゲルダ 2人の戦場カメラマン」らしいぞ。
ロバート・キャバとゲルダ・タローはどちらもペンネームらしい。
タローは大阪万博の太陽の塔をデザインした岡本太郎からとったらしい。
岡本太郎は、パリに留学していた事があるので、ヨーロッパの画家達と交流があった。
ロバートキャパと言えば、日本では「ちょっとピンボケ」って本が有名だけど、最近は聞かない。
彼が初めに活躍したのは、スペインの内戦。
しかもちょっと複雑で、反ファシストとして政権側やドイツと戦う共和国軍(人民戦線軍)側にいた。
複雑なのは、元々の体制をクーデターで政権交代しようとした人達が反乱軍として位置づけられ、彼らがファシスト(ドイツ)の協力を得た。
これに反対する共和国軍という革命者達が共産主義者を中心に作られ、社会主義のソビエトの支援を受けたことにより、敵の敵は味方?? みたいな構図ができあがった。
反乱軍はクーデターなので、それまでの体制は変わらない。
スペインはカトリックの国で、反乱軍もカトリック、でも共和国軍は共産主義で唯物論者。
キャバもゲルニカを描いたピカソも、反ファシストで、反乱軍と戦う共和国軍側を支持した。
ドイツ軍がゲルニカを空爆しなければ、ピカソはゲルニカを描かなかったかもしれないけど、戦争は人が希望しない方向に進むことがあるので、なんとも言えない。
それまでのスペインの文化を守りたい人達は、共産主義者側を迎合はしていなかったとは思う。
共産主義が悪いわけでは無く、その当時の共産主義は反社会的な行動をする集団だったりした。
例えば日本の対岸のロシアの尼港で起きた日本人と現地の人の虐殺事件、尼港事件では、共産主義の集団に1600人の街一つが襲われたけれど、この時の共産主義集団は別に共産主義者では無く、そういう名前を借りた略奪目的の集団だったと聞く。
だから共産主義、共産党員=暴力では無いのに、当時は過激な象徴と思われ、それを裏付けるように過激な人達が集まってきたという事だと思う。
今で言えば、イスラムの過激派組織と似たものがあるのだろう。

尼港事件の場合は、韓国系の盗賊集団も集まり、事態がまずくなると真っ先に離れていったようだ。理念が無く金銭目的なので、当たり前の対応だ。
また、この事件の日本軍の対応は、先進国へ追いつこうとしていた日本が太平洋戦争に向けての破綻の戦い方をする精度に欠けた部分も垣間見える。
八甲田山の進行の悲劇など、とにかく準備に欠けて勢いだけで進もうとする姿勢が見え始めていた。
第一次から第二次までの戦いは、世界的にそういう気質があった時期なんだと思う。
以外とそういうことが構成に伝わっていないことを そして私自身が全く知らなかったと言う事を映画「この世界の片隅に」で知った。
あの映画は、恐ろしいほどのリアルがあるし、今までの戦争の情報も見直した方が良いと感じだ。
ショックだったのは、自分がその時起こった事象を当時の人が置かれた感覚で全く理解していなかったと言うことだ。
今年の指定図書の中にも戦争を題材にした物が多くあるけれど、それは他と同じように、ただ戦争は悲惨で悲しく、つらい悲劇って事だけを伝えようとする。
それは確かに一番重要なことだけど、同時にどんな戦争もそういう悲惨な出来事であることに変わりがない。
その戦争がどんな気持ちで、そして時間軸ではどのように進んで行ったのかも、必要な事だと思う。
まさに今自分達が、他に選択肢があるのに、戦争に進んでいるかもしれない。

日本の戦争話では空襲の事を語られるけれど、空襲は戦争の最後の6ヶ月間の間ぐらいの出来事で、戦争の全期にわたった事象ではない。
つまりは、空襲にいたる前に負けを認め、降参する事も時間的な尺度から出来たように見える。
でも、実際は出来なかった。
どこの戦争も同じように進むけれど、最後まで戦い続けるのが常だ。
止まらない。
それが、一番辛いことだと思う。
勝てないと判った先に、消耗戦で命を消耗していく戦いに進むわけだから、冷静に考えるとたまった物では無い。
まあ、現代戦は、ベトナムの例にある様に信念を持って計画的に戦い、勝利を勝ち取るケースもあるのだけど。

とにかく、スペインの内戦が、反乱軍としてファシストからの支援を受けて戦った側が最終的に勝利したが、同時に世界の避難をかい、同時にスペインの文化資産を守った。
スペインはこの選択で、ファシストとつながっていたため、第二次世界大戦終結後も微妙な立ち位置に置かれる。キャパがいた共和国軍を支援するソビエト連邦を含めた体制と向き合うには、仕方がない選択肢だったのかもしれない。当時の唯物論者は宗教的なものを破壊したと聞くし。
ドイツはファシストだけど、かつての帝政ローマ帝国。キリスト教信仰を多く抱える国家。
宗教的にそう決めたのか、それはわからない。
結果的にはスペインの古い教会は守られたわけだし、社会主義になってサクラダファミリアも廃墟になってしまう選択だってあり得た。
ファシストは消滅したけど、それもギリギリでスペインは国体を維持して生きたと言える。
だから、微妙な感じがする。
ゲルニカのピカソも、キャパもその反体制側を支持した。
それが、スペインのためかどうかは、結果をみると微妙だけど、「キャパとゲルダ」にスポットが当てられたとき、彼らと敵対した方は、自動的に敵になる。
だから、これらの作品は、キャバの側からみた、最終的に負けた勇敢な人たちの記録を見ていることになる。
そして、その共和国軍の信念は、尼港事件のテロリストと同じように希薄な物かもしれないのだ。
そう、この時代に生きている私たちは、同時のスペインの人達がどう思っているか、全く知らない。知るよしも無い。
知っているのは、この内戦を専門的に研究している人だけだろう。
キャパとゲルダはどちらもユダヤ系らしいので、ファシストを憎んで当然だから、共和国側につく以外の選択肢は無かったとも思う。

8月は夏だけれど、日本人にとっては戦争を考える月。
戦争のバックボーンを考えて、この本を読み解いていきたい。

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