技術部の壺の中 — Vol. 91 [キラーツール/シガーアダプター]

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みのむしクリップ

主に電気関係で仕事をしてきたけれど、気が付いたとき、日本の電機の会社ってほとんどなくなっていた......... そんな需要のない今を 日々生きています。

車載アダプターの電源ノイズかひどかったので、
ノイズを低減するグッツを作って見た。
使うのは、シガーアダプター、Buffalo製のBSMPS2401P1BK。
以前測った波形は、下のような感じ。

縦は、0.2V/dev なので、ノイズは1.2Vp-pになる。
水平の白い点線が、USBの規定電圧、+/- 5%
4.75V ~ 5.25V なんだけど、どっちも大分超えている。
もともとDC電源だから、本来は5Vから変動してはいけない。
しかも、測定は、入力に安定した12V電圧を使い、
ノイズが無いことを同時に測定している。
負荷は、抵抗負荷なので、基本的に消費の変動は無い。
発熱で抵抗値が上がり、消費電流が少なくなる事はある。
でも抵抗なので、基本的に変動はしない。
だから、0.8Aの消費電流を維持し続け、この測定環境で
ノイズを出す物はいない。
取りあえず、簡易キラーツール、ノイズキャンセラーを
作って見よう。
下記の[A]の部分にコンデンサを入れて、ノイズ対策をする。

電源にコイルやコンデンサを装荷する。
まず、大きなスパークノイズをとるために、入力側に
コイルを入れる。適当なチョークコイルが無かったので、
適当に拾った物を使った。
出力に小さなコンデンサを入れる。
低ESRのチップコンデンサ = セラミックコンデンサを
繋げる。今回のノイズの場合は、0.4uF程度が必要。
あとは、細かな波形の0.1uFを入れてみる。
0.22uFを 2個乗せた。チップコンデンサが無く
秋月電商に売られているチップコンデンサにリードをつけた
タイプをつかった。
最近、仕事が無いから、チップコンデンサさえ持っていない。
なんとも自分が嘆かわしい。「みじめ」な気持ち。
0.47uFが欲しいけど。あとは、0.1uF一個。
2.2uFのチップコンがあったので、1個つける。
装荷するのはこの程度。
負荷は抵抗で、800mA程度。
信号で出力を変えるタイプのアダプターなので、一応、
信号線もブリッヂしておく。
(あとで、実機で試すかもしれないため。)
コモンモードノイズはまずは、考えない。
チップコンデンサは、部品の胴体をグランド側に多めに乗せる
とか、そんなケアは、もう夢物語だ。
継続していくと思ったけど、会社は継続しない。
で、戯れ言は置いておいて、測定してみた。
ノイズはとれた。なぜか、電圧が下がっている。
電源とグラントの抵抗はテスターで測って、オーブン。
十分に絶縁がある。・・・おかしい。
試しにコンデンサをつけた部分を一端外して、刺すと
アダプターの出力が停止した。
低ESRの電解コンデンサをつけるとアダプターの出力が
短絡したように見えて停止することはあるけど、2.6uF程度
しかコンデンサをつけていない。
よく分からない。
この基板をシガーアダプターの出力につなぎ、そのあとに
USBケーブルをつなぐ。(図の[A]の箇所につなぐ)
前回測定した時に使ったUSBケーブルで、負荷は抵抗。
測定場所は、USBケーブルの出口(マイクロUSB)。
適当につけたコイルが問題と言うこともあるので外して見た。
あまり変わらないな。
0.1mmぐらいの銅板を使ったので、そんなに抵抗が
大きくないと思うんだけど。
抵抗を変えて、400mA程度の負荷にした。
電圧が戻ってきた。
うーーん、出力のコンデンサの定数のせい??
そんなに大きくないのに。

更に消費を減らし、200mAぐらいの負荷。
電圧は戻ってきたけど、まだ低い。

そもそもが、4.9Vと低めだった。
ノイズは、とれたけど、そもそもアダプターの振る舞いが不明だ。
ちなみに、12Vが入った時と、12Vが切れる時の波形は下。


電圧の立ち上がりで段差がでている。
入力の変化で発振追従出来ず、安定していない感じだ。

このアダプター、電圧の振る舞いがよく分からないし、
まずは、出力の電圧をもう少し上げるべきかと思う。
ユーザーが使うケーブルの損失なども考慮すると、高い方が
も問題が起きにくい。とはいえ、5.15V程度まで。

ノイズはとれたけど、釈然としない。
あと、コンデンサの定数が完全にあっていないので、
200mV程度のノイズが残る。1uFを一個つければ
変わったかも。
でも、はじめの1.2Vに比べたら、大分ましだとは思う。

出力に部品を追加すれば、このアダプターももう少し頑張れたと
思う。今回はスイッチング電源のスパークノイズだけの
問題だけど、多くのシガーアダプターは、かなり悪い物が多い。
電圧が変動したり、高い電圧が出たり。
ノイズと言うことでは無く、出力電源そのものがはじめの時に
12V/24Vがそのまま出てきたり、1Aの負荷に耐えられずに
3Vぐらいの出力になったり、ドンでもないものが多い。
そんなアダプターにスマホをつないで、車を始動したら、
スマホは壊れる。
車を始動してから、スマホはつなごう。
順番というか、おまじない。
っていうか、そう言うアダプターは使ってはいけない。
スマホは、クイックチャージ対応は、12Vに耐える耐性の
物があるので、すべて壊れないかもしれないけど。

そういう電源に比べたら、Buffalo製のBSMPS2401P1BKは、
周波数の高いノイズが多いだけで、まだ、ましな方。
やっぱり、Anker製が安定してるのかな。
以前、測った時は、全くノイズ無し。
昔の日本製はそうだったけど、今は日本製も怪しい。

そして、私は仕事にあぶれる。
こんな品質だけど、日本人を雇うのは「ムダ」なんだろうな。
買う人がいるし、それは間接的に日本人以外が
支持されている証拠。
社会に、もう自分の居場所は無いんだなと、つくづく思う。
いや、日本人自体はみんな働いているから、
私だけ、居場所は無いということか。

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