技術部の壺の中 — Vol. 106 [ハロー!! ダイムのスピーカー]

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みのむしクリップ

主に電気関係で仕事をしてきたけれど、気が付いたとき、日本の電機の会社ってほとんどなくなっていた......... そんな需要のない今を 日々生きています。

もう、多分時効だと思うから書くけれど、DIMEと言う雑誌に
スピーカーがついてきたことがあった。
雑誌ではステレオアンプ付きスピーカーとして書かれていて、
乾電池2本を入れて動作する。筐体は安っぽいけど、商品では
なく雑誌の付録だからね。十分だと思うし、デザインもシンプルで
悪くない。小さくて使い勝手が良かった。
音もそこそこ出る。
でも、
「モノラルだ。」
ちょっと分解してみると、アンプが2個入った8pinパッケージの
ICが使われていた。
2個アンプを持っているので、右左 2つ分、ステレオ音声を
増幅できる。だけど、基板は明らかに右左を混ぜてからアンプで
二回増幅していた。
まあ、ステレオと言わなかったら良かったのに、ステレオって
言ってる。それで、他に5冊、東北や北海道など場所を変えて
雑誌を買ってみたんだけど、みんな同じ。
それで、DIMEにお便りをして見ました。
ステレオではない と。
別に強い表現は使っていないし、
「ごめんなさい。間違えたんですよ。」って回答かと思ったら、
生産場所が複数有り、違う仕様が混在したと言う説明。
更に、交換するから送って欲しい、とまで。
マジか。
送ってみると、帰ってきたものは、基板上で
無理無理修正されていた。でも、モノラルは変わらず。
私的にはどっちでも良いし、余りリスクではないから。
小さなステレオって、モノラルと変わらない。
しかも付録ですよ。
アンプ付きスピーガーで十分意味はある。
DIMEは昔から買っていたしね。


[これはステレオ仕様の正常品]

・・・・と書いていて、後でオークションで購入した
DIMEの付録のスピーカーは、基板がステレオになっていた!!!!
えっ、ホントだったの!! って事で、人の話はきちんと誠実に
聞かないといけないなと、反省です。
DIME編集部さん、すみません。そしてありがとう。

スピーカーは、スイッチで音量が二段調整出来るように
なっていた。入力の抵抗の量を変える仕組みで、
正式版は2系統の二段のスイッチ、別に電源ONのスイッチと
スイッチがかなり複雑構成になっていた。
ダメ品はスイッチが違う。回路が違う。
アンプは、TDA2822が使われている。ピンの配置が
同じICは世の中にたくさんあり、物によって、
違うメーカーのものが使われていた気がする。
アンプICは問題無い。

発生した理由はなんとなく分かる。
町で売られているスピーカー。1000~3000円のもので、
スピーカーが左右に2個ついたデザインのもの。
そのパッケージには、「ステレオ」って書かれていない物が
多い。モノラルだからね。買った方はデザインからステレオだと
思っている人もいるけど。
ステレオと書かないところが、ちゃんとしている。
モノラルが多いと言うのが、ミソ。

DIMEが「ステレオ」と書かずに、アンプ付きスピーカーって
書いたなら、問題がなかった。
企画物だし嘘をついているつもりはなくて、普通に作った
だけだと思う。
不思議とDIMEの担当者には、同情したい気持ちがある。
畑違いの作業をしている不条理感が半端ない。
そう言う気持ちで屈辱を感じていたら嫌だな。

世の中はちょっとした事からNGなものが社会に出てしまう。
誰も失敗したくないから、好んで作っているわけでは
ないけれど。

付録と違い製品の場合は、
大量につくって、大量に販売すると言う事に潜むリスクを
考えるべきだと思う。
はじめから安く売ろうとするけれど、きちんとできる様に
してから、その手間分を価格に反映すべきだ。
だから、値段が高くても安心を買える。
今の日本は、高い物を買うことで、安心が買えるとは
限らない。どちらかというと、100均最強だ。
品質はそこそこ、爆発的に安い。
でも、一般売りの製品が100均と品質がそれほど変わら
ないなら、100円の価値しかないことになる。
だから、500円で変わらない物を出すなら、1000円にして
満足が欲しい。
でも、1000円だと誰も買ってくれないって??
そう、そこがポイント。
それは、500円の価値の物が1000円で売られているから、
1000円の品物に期待が出来ない。
無駄になると思うと買わない。
だったら、5000円にしたら・・・2000円の物を5000円で
売っているから、満足度は上がらない。
5000円分の価値がないと、がっかりする。
結局、2万円とか、1480円とか、両極端で落ち着く。

買ったDIMEスピーカー達は、4台はステレオに自分で
改造し、その内3台は重低音化とか、入れ物を大きくしたりとか、
ダクトをつけてみたりとか、改造して良い教材や遊び道具に
なりました。
でも、加工するほどダメになるというか、車とかもそうだけど
だんだん解らなくなる。
「サイコダイム」と名付けた4号機は、厚みが4倍になった。
重低音化として、右左の音をスピーカーの後にミックスして
モノラルにした後、別アンプで一回り大きなスピーカーを
鳴らすって改造。
もう、原型のコンセプトの「コンパクト」を忘れている。
音は大きくなったけど、音の切れがなくなった。
しかもデカくて、持ち運べない。
スピーカーの世界も素人が手を出しては、いけないな。

改造段階で、Mk2とか、Mk3とか呼称をつけるのが、
男のロマンというか、お子様脳です。
男はね・・・どこまでも男の子だから。
そういう、夢をくれたダイムの贈り物でした。

[ダクトをつけて音がすっきりしたMK-2]

LEDもつけてみた。ここまでが、常識的な領域。

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