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[電球(電池)編]
電球のグループは、電池とか、検査で動作させると商品価値が
下がってしまう物のグループ。
全数検査して出荷する訳にいかないので、できあがった製品の中から
抜き取って検査をして、生産の状態を見極める。
割り箸と違うところは、生産される物が複雑になり、生産の機械が
正常に作動して製品を作っているか、もしくは継続して不良を生産
しているか、把握が必要になる。製品は比較的単純で、短時間で
生産されてしまうため、不良が出来ていたときに、無駄も増える
ためだ。
電球は、キチンと減圧されているか、不活性気体が入っているか
見ては分からない。割って確認するわけにも行かないので、実際に
点灯して確認する。
でも、点灯すると、使用時間が減るので、製品として出荷することが
出来なくなる。
電池も目視では電解質が入っているかどうか、できばえが分からない
ので、実際に使って動作を確認する。
でも使うと電池の容量が減るので、出荷出来なくなるから、
抜き取って、サンプリングで確認する。
その一方で、こういう製品は、製造工程の手法に品質が依存して
いるため、抜き取って確認すると、その抜き取った物と
同時に生産された物の品質はほとんど同じで、変わらない。
という性格の「物」。
割り箸と違うのは、割り箸の場合、作っている最中に材質が
割れている物に気がつかないで発生する不良など、生産物に
一定量の不具合が、入る偶発的な可能性がある。
しかし、電球の場合は、そういう事態の場合は製品が出来ずに
機械が止まるため、初期不具合は発見しやすい。
検査カメラなど目視確認の機器もある為、生産のばらつきが
判り安い。
検査による初期のロットの確認が有効な製品であることが特徴だ。
もう一つ、電球も、電池も、品質上重要な要素がある。
「寿命の確認」
この種類の製品は、消耗品と言われ、使うほど消耗していき、
その品質として、「どのぐらい使えるか」が顧客満足に大きく
関係する。電池は、製品の値段に見合う期待値程度は使えて
欲しいし、電球なども同じ。
さらに、その寿命のつきる瞬間の事象も問題になる。
電球や電池が、消耗品と言っても、寿命半分の時の明るさが
半分になったら、多分、使いにくいだろう。
死にかける9割のところで、暗くなって、息絶え絶えって
演出のあと切れるなら、問題にされないかもしれないし、
約束の寿命時間を全うした後で、突然死しても言い訳は立つ。
「言い訳はたつ」って、品質ってそう言う物か? って
思うかもしれないけれど、そう言う物だ。
顧客が満足する、もしくは顧客との合意の寿命であれば、
互いに約束は守られているし、顧客の満足は得られる。
そう言う満足が得られる程度に、品質は成り立っている。
(最近は過剰に自分品質を押しつけるユーザーも多いけれど)
寿命のあり方の見極めは、抜き取りで、検査を行う。
比較的短い寿命の物は、実際にサンプルを使い続けて、
長い時間の物は環境条件を工夫して環境の劣化を進める
ような「加速度試験」を行い、状態を確認する。
かつて写真とかで有った「100年プリント」って、
売り出してから、まだ、100年経っていない。
でも、100年保つといえるのは、紫外線を使って、劣悪な環境を
作り、「多分、100年保つ」と判断しているから。
どちらかというと、この試験は、QA的な試験で、
今まで話していたQCの試験とは違うけれど、まあ、
そう言う類いの試験。
電池も、漏れないハズの電池が
「リモコンにいれたアルカリ、また液漏れしてるよ。」
とか
「マンガン電池の方が液漏れしなかったな。」
というように、感じているひとがいれば、
メーカーは、電池のトレースをして、アルカリの液漏れを起きない
ようにするだろうし、気が利いたメーカーは、
「アルカリ電池はリモコンに使用しないでください。」
とか、「リモコン専用電池」として、マンガン電池を売ったり
するかもしれない。
実際は、そう言うトレーサビリティはしているのか不明だけれども、
「使用したアルカリ電池を機器にいれっぱなしにしないでください」
とは言っている。
これは、電池の使われ方と、その後の使い方に種類がありすぎで、
対応とのコストバランスが悪いからだとは思う。
話がズレるけど、リモコンのアルカリ電池が液漏れするのは、
2本いれた電池の片方が元気がなくなると、元気が良いもう一方の
電池から、少しずつ充電されてしまうからだ。
アルカリ電池は、充電されると吹き出したりする。
そう言う現象のためで、一本で使う限りは絶対に液漏れしないつもりで
作られている。ハズ。(これも、私のガセネタかもしれないけれど。)
とにかく、この製品はそう言う検査も意味がある製品だ。
外資系のHDDメーカーは、品質の見極めに加速度試験を行っていたし、
ミル・スタンダードやJISでも、そう言う規定がある。
(MIL-STD-781)
また、部品などの製品のカタログにつかわれるのが、古い用語だと
MTBF(平均修理間隔時間)という、この製品はこのぐらいの間隔で
交換してくださいね、という寿命表示だ。
当然、平均寿命って人間でも、その年まで全員が生存出来ない。
製品で生存出来る数量は、元の数から不良の数を引く数量だが、
発生する不良の数量は、全数量、掛ける自然対数eの”-1″乗だ。
つまり、63%が生存している。
この突然あらわれた数式、
高校、大学の微分積分や対数でよく見る式だと思う。
なんだ、こんなところで使うんだ!!って、感じると思う。
関連ブログ
技術部の壺の中 — Vol. 46 [ものづくりと品質]
技術部の壺の中 — Vol. 47 [ミリタリースタンダード]
技術部の壺の中 — Vol. 48 [品質-割り箸の場合]