どこかで誰かが君の幸せを願ってる

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本部求芽

本部求芽

あなたに。ずっといつまでも続く。 こころのときめきを。 水曜日担当。

食堂で晩御飯をひっそりと頂いていると
窓から舞踏練習を猛烈に
舞っている少女を見た

思わず食べているもの全部吹いてしまった

心臓がばくばくしている

私は日常では出来る限り
家の半径10キロ以上から
知り合いを作り始めるため

近距離の世界では
黙って見過ごすのだが

あまりにも強烈な光景なために
無視することが出来なかった

全力全開で舞踊練習に取り組んでいる
食堂を行き来する人の目など眼中にはない
自分の世界を食堂の廊下で
ありありと表現しているのだ

もとめ
「私も舞踊が好きです。」

舞踏家
「。。。(きょとん)」

もとめ
「発表会ですか?」

舞踏家
「は。。。はい!!」

もとめ
「何時からどこでですか?」

舞踏家
「15分後のこのすぐ下でです!」

もとめ
「わかりました。いきます。」

舞姫
「ぜひ。。。!」

ふう

舞踏家は一切微笑みを見せない
いま精一杯取り組んでいるのだ
本番に向けて

そして約束の時間に

。。。。

と思ったが
私は顔が割れると
まずいので

会場には入れない

ううう

ゆえに
遠い外から中を
見守る形となった

だが

時は来ても
舞踏家は
そこにはいなかった

会場間違えたか??
と思うも
別のダンサーが

頭真っ白だ

いいんだ
いいんだ

もういいんだ

ううう

と立ちすくむ中

幾千何秒という時間が経った

ふと顔を上げた

その時だった

。。。。。。。

!!

!!!!!!!

!!!!!!!!!!!!!!!!!

白いベールに包まれた

舞踏家

いや

舞姫が脚光を浴びて舞台にひとりで
登場したのだ

なんてこった

舞姫は大トリだったのか

15分後とは
発表会の始まりの時間だったのか

出て来た舞姫は別人のような華やかな表情と
威風堂々なる気品溢れる雰囲気で
物の見事に舞っている

名も知らないし
向こうはもう私のことなんか
覚えてはいないけれど

私は垣間見た

ごく僅かのときのために
最後の最後まで情熱的に
特訓し続ける闘志に燃えた舞踏家

本番だけではわからない

もう一つの世界の顔

芸術ってすごいな
人をこんなにも
魅了させる世界観

綺麗だ

とても綺麗だ

またどこかで違う世界で
出逢っていたら

そうだね

うん

さよなら
名も知らない方よ
素敵なひとときをありがとう

舞姫の輝きを見届けると

人知れず会場の庭を後にした

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