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2019-9/15日の朝のFM東京で、新しいiPhoneを予約したって
話していた。とっても嬉しそうだ。
何でも、今使っているiphoneは、緑の輝線が画面にあって、
それを修理すると3万円取られるので、じゃいっそ買い直そうか、
と、新しいiPhoneを予約したとのこと。
新しい機械が来るのは楽しみだし、機嫌が良さそうだった。
緑の輝線は、゛グリーンラインオブジェクト゛って言われている
らしい。何でも、その型番の初期ロットでは良く発生するとのこと。
なるほど、傾向性があるわけだ。
ダメじゃん。
バッテリーは、消耗品で保証無し。初期の不具合は一年間保証。
水没や落下はユーザーの責任。
それは理解できる。
でも、液晶画面が、2年ぐらいで不良になるのは、違う。
ユーザーが持っている寿命と期待値は、iPhoneなら5年ぐらいは
使えると思っているだろう。
その間、使用環境の湿気や温度とかのトラブルはあるかもしれない。
でも、基本的な動作の耐久性は、そんなに短くはない。
冷蔵庫も、洗濯機も、テレビも、カメラも、すべて一年保証だけど、
一年で、壊れて良いわけがない。
それに、液晶の不具合は、緑の輝線だから、
赤と青のラインが切れているだけだろ。
多分、液晶の電極にタブというペラペラのケーブル(FPC)を
熱圧着するときに、しわやズレが発生して、うまく接着できて
いなくて、はがれた事による不良だろう。
液晶の製造上の部品不良だと思うから、無償交換じゃないのかと
思うけど。
でも、Appleの姿勢は有償修理対象らしい。
まあ、そういうことなんだろう。
で、じゃ保証とか品質とかを決めているのは誰かという話だけど、
それは、製品を買うユーザーに他ならない。
(だから、状況を分析はしても、それ以上の事を言う気はない)
品質が悪くても、必要としている人がいれば、物は売れる。
品質が悪くても売れるなら、それ以上品質を上げる必要性は薄い。
品質が悪いとリスクを被るので、そのリスクが大きいと思ったら、
人は買わなくなる。
それで、品質を上げて改善仕様とするし、他の人が同じような物を
販売して競争がはいると、品質を上げようとするだろう。
買う方が満足していれば、このロジックに問題は出ない。
あまりに独占市場である場合は、公に指導が入ると思う。
でも、iPhoneはAndroid端末という競合がいるわけで、
独占ではないし、それにiPhoneをほしがる日本人は多い。
デザインや最新版を持っていると言う気持ちから、
一定数のユーザーがいて、満足されている。
その間で「グリーンラインオブジェクト」は、許される
不具合として認識されている様子だ。
だから、品質を上げる理由もなく究極を望むのは、
量産を行う側としては、意味が薄い行為ではある。
一方で、
品質が良い物は様々な恩恵がある。
不良によるクレームや手間が省けたり、工場の生産性が上がる。
そのバランスの上に生産品質は合わせた方が良い。
だから、通常はそこそこの品質になる。
ユーザーと生産者側との天秤。それが生産品質でOC曲線とか
言われる、生産者リスク、消費者リスクの曲線だ。
ここから不良率は、96~98%とかと言われる。
日本の工場では、不良率が3%を超えると工場を停めるか
考えると言われるから、大体そのラインだろう。
これは生産時。
一方市場での不具合だけれども、家電は工場内の出荷検査で
0.1%のコントロール時に、市場で発生する1年後の不良率は、
1%と言われている。
また、これにかぶるように、市場不良で不具合の内、
不具合を不快に感じて文句を言う人は全体の60%で、
全体の20%は実際に電話をかけたり行動に出るという。
つまり、メーカーに1%の報告があっても、潜在的に5%の
不具合が存在している事が考えられる。不満を感じた人のうち、
40%の人が、次はその製品を選択しないと言われている。
販売の2%の売り上げが、毎回低下することになる。
これらの事は、すべて経験則なんだけど、このことを元に
条件を変えると違う製品も類似する傾向を得ることが
出来るということから、品質の式がいくつか作られている。
経験則をトレースすると、なんか簡単な式になると言う話し。
それにとらわれると、すべてに『数字の悪魔』が
存在しているようで不思議だ。
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