オリジナル小説 タイトル「君の魂をください」#21~30

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tonn

初めまして、NEET株式会社取締役tonnです。 僕もブログが書きたい!という事で時々、約三~十行小説を書くことにしました。(書いてほしい行数をコメントして頂ければその分次がんばります!) 何分シロートなので稚拙な文章しか書けませんが暖かい目で、気軽に読んでいただけると嬉しいです。 (; ・`д・´)

#21

「ジートゥ、お前以外にも悪魔っているの?」

「いるだろうな」

「ファーストゴロだった。ピッチャーの俺がカバーに入ってゲームセットのはずだった。なのにあいつは一塁にカバーに入った俺の利き足をスパイクでわざと踏んだんだ(ゼッタイニユルサナイ)」

やっぱり大地は悪魔に取りつかれている。

#22

人に失望し、世の中に絶望した人間の所に悪魔は現れるらしい。

そして、悪魔に魅了された人間は悪魔になるのだ。

「なら何で僕は悪魔にならないの?」

「さぁな。それより行っちまうぞ」

「じゃあ、俺帰るわ(ダレカタスケテクレ……)」

#23

「待って!」

「何だよ?(まだ何かあるのか?)」

「今日の夜、流星群が見えるんだ」

「そうなんだ(だからなんだよ)」

「見た方がいいよ」

「一応覚えておくよ(見ないけどな)」

#24

「大地はもう悪魔になったの?」

「なりかけてはいるがまだ完全ではない。完全に悪魔になるにはその人間の絶望を満たさなければいけないからな」

「それが洋一を殺す事なのか」

「悪魔は常に人間を悪魔にするために行動している」

「ジートゥもそうなの?」

「勿論」

#25

「へぇー。その割にはあまり僕に関与してこないね」

「普通、悪魔に遭遇したら恐れるか、縋るかのどちらかなんだ。お前はどちらでもなかったからな」

「関係あるの?」

「そうしてくれた方が魅了しやすい。今はそうなるのを待っているのさ」

「そうなるかな?」

「なるさ。それが人間の性だからな。それより追いかけなくていいのか? あのままだとアイツ、何しでかすか分からないぞ」

「確かに。でも、どうしよう?」

「さぁな。オレも悪魔を人間にした事はないんでな」

「とりあえず追いかけるか」

#26

「こんな時間に何の用?(また金をせびりに来たのか?)」

「金貸してくれよ(とりあえず一万円も借りればいいか)」

「今月分は今日渡したじゃないか!(このままだと死ぬまでたかられる)」

「だから『貸して』って言ってんだよ。ちゃんと返すよ。それともあの写真アップされてもいいのか?(あの写真がバレたらもう学校には行けないかもな)

「わ、わかったよ(クソ!)」

「それより洋一。あの時、どう思った?(どうしてあんな事したんだ?)」

「あの時?(何の話だ?)」

「お前が俺の足を踏んだ時だよ(事故だったんだろ?)」

「あぁ、あの時か……。あれは爽快だったな(そのおかげでレギュラーにもなれたし)」

#27

「え?(冗談だろ?)」

「だって、あの時、初めて大地に勝てたんだからな(一度も勝てなかった大地に)」

「わざとだったのか?(冗談だと言ってくれ!)」

「わざとに決まってるだろう(そうでなかったらそんな都合よく利き足を踏めるかよ)」

「うわぁぁぁぁぁぁ(ウワァァァァァァ)」

その時、大地は鞄の中に忍ばせていた果物ナイフで洋一を刺した。

#28

「しまった。まさかいきなり刺すなんて」

僕は電信柱の影から見ていた。

「これでアイツはあと一時間もしないうちに悪魔になるな」

「とにかく救急車を呼ぼう」

僕はあまり人のいざこざに関わらない人間だが、今回は事が事だけにスルーする事は出来なかった。

「それよりアイツ逃げていくぞ」

それをジートゥは楽しそうに見ていた。

#29

「大地はどこに行った?」

「さぁな。ただアイツの悪魔の居場所なら知ってるぞ。もしかしたらアイツもそこにいるかもな」

「教えてくれ」

「屋上だ」

「後三十分か、間に合うといいんだが」

#30

「ウワァァァァ(体が熱い……)」

「いた! 大地だ!」

大地は学校の屋上の柵の外側にいた。

そばにはジートゥとは違う真っ白な悪魔がいた。

僕はゆっくりと距離を詰める。

「お前、ワタシが見えるのか?」

「ああ」

「ならなぜ怯えない?」

その時、大地が悪魔になるのに残り十分を切っていた。

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