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ニート株式会社の2020年新規メンバー募集が始まりました。
設立から6年半。
初期から参加しているレンタルニート仲目線による、ニート株式会社の設立から現在までの変化を書きたいと思います。
予備知識:
【ニート株式会社】
→参加者のニート全員が取締役となり、2013年に設立された会社。
【若新雄純】
→ニート株式会社の企画者。プロデューサー的立場。
ニート株式会社(ニー株)の始まり
2013年4月 設立告知サイトオープン
「NEET株式会社(仮称)の設立メンバー募集」というサイトがオープンしネットで話題になる。Webエントリー開始
6月11日 説明会
7月~10月 設立準備期間
11月21日 登記完了
書類を提出し、登記完了。正式に設立される
この頃僕は大学を2年留年して卒業したばかり。
新卒一括採用の風習に疑問があったため、在学中に就職活動は大してせず、大学を卒業してから就活を始めるつもりでいました。
そんなときまとめサイトでニー株の設立メンバー募集の記事を見て多大な興味を持ち、説明会に参加したのでした。
当時の設立メンバー募集サイトには
「人と違う目線を持ったニートの若者たちで起業し、既存の価値観に縛られない会社を作る」
「どんな仕事をするかはすべて一から決める」
といったようなことが書かれており、一般的な労働社会に染まりたくなく起業に憧れていた僕にとってとても魅力的なものでした。
説明会の内容も、今までに受けたことのある合同説明会の一般企業のプレゼンとはかけ離れたもので、強く印象に残ったものです。
2013年当時のニュース記事:
“取締役が全員ニート”の「NEET株式会社」、気になる説明会に潜入してみた!!
https://news.mynavi.jp/article/20130621-neet/
設立準備期間の活気
「設立準備期間」にあたる6月~11月の間は仮の社内SNSを利用し、メンバーどうし交流を図ったり事業案を練ったりしていました。
この頃は正式登録には至らなかった「仮登録メンバー」を含む300人以上が参加しており、とても活気がありました。
メンバーは社内SNSで日々一風変わった事業案を力説したり、都内で開かれる毎回の会議では事前に「会議の資料」を作ってPDFファイルで配布したり、地方住まいのメンバーには現地の様子を動画生放送して届けたり。
メンバーそれぞれ元やっていた仕事や学校での経験を生かして役割分担をし、自主的に動くという理想的な流れが出来上がっていました。
ニー株の設立までの流れは企画元の組織立ったサポートもあったおかげで、とても期待できそうな雰囲気が漂っていたのです。
会議ごとに毎回テレビ取材が来たり、設立当時のメディアでの注目度はすごいものでした。
設立後のニー株
会社設立後には記者会見を大々的に開いたニー株ですが、いろいろ挙がっていた事業案のうち実際に実行に移されたものは限られました。(Tシャツ販売や自主制作ゲーム販売など)
なかなか動きがなさそうだったので、半年後ぐらいに自分で動き出そうと思って始めたのがレンタルニートです。
その後も会社のルールや体制作りについては継続的に会議の場で扱われましたが、しだいにやりたい事業や企画に関する話は減っていき、社内SNSや会議の場ではルール作りに関する話題ばかりが扱われるようになっていきました。
それでも新たな動きを作りたいという取り組みから、
2015年秋(2年目後半)ごろには会議での多数決により取締役の新規メンバーを募集することが決まります。
ニート株式会社解散案
しかしそれを開始しようとした2016年春。
後に脱退するメンバー達から強硬策として「ニート株式会社解散案」が提出され、臨時株主総会が開かれます。新規メンバー募集反対派の仕業でしょうか。
僕としては会社のための話し合いをする場で会社を無くすことを提案するという行為に全く理解が及びませんでした。
表向きは「ニート株式会社は会社であることをやめてコミュニティ化し、リスクや面倒事を軽減する」とのことでしたが、僕のような「ニートたちで集まって会社を作る」という元々のテーマに強く価値を感じている人間の意志を全く無視したものです。
当時、ニー株のメンバーはみな均等に株を所持する株主であり議決権を持っていたため、会社法に基づいた株主提案権によってこの議題が臨時株主総会で扱われました。
結果は否決になりニート株式会社は存続しました。
株の仕組みが最初とは変わる
この面倒な出来事が後のニー株に大きな影響を与えました。
企画者である若新会長は専門家と細かく相談をした上、法的に同じことが再発しないような仕組みを改めて提案したのです。
その後初期メンバーたちの間で採用され、現在では発起人の若新を除き、参加者である取締役の株は議決権のない種類株式となっています。
これ以降は取締役全員で株主総会をやったりする必要はなくなり、毎回全員にメールで前もって通知を出したり、議題をまとめたり、会場を手配したり、当日は出席を取ったり、参加できない人は委任状を送るなどの非常に面倒な手続きは不要になりました。
2期目のメンバー募集以降
解散案提出などにより1年も遅れましたが、2017年夏(4年目)に初の取締役追加募集が行われました。
僕が梅島シェアハウスに住んでいた頃です。
AbemaTVのニュース番組に取材受けたりとかで2期目の追加募集にはなかなかの反応がありました。
その後も年に1回の新規募集をしていきます。
しかし上記の解散案のような様々な面倒事もあってか、若新会長もあまり当初のような攻めたことは言わなくなりました。
新規メンバー募集の告知ページ内容には「ニートの能力を活かす」「独自の価値観で新しい会社作り」というような文言は減り、コミュニティとしての価値を押し出すような雰囲気に変化しました。
5年目も、6年目も、相変わらず社内SNSには誰かが内部のルール作りを主張したり、不備を指摘したりする流れが色濃く残ります。
結局、揉め事が多い?
従来の価値観に縛られない会社を作ろうとしたのが、結局のところ「会社である以上、こうした仕組みが必要である」「こうした不備は許してはいけない」といったごく普通の価値観ばかりを頑なに主張する人が結構いたということです。
この現象自体は始まりから今現在まで、メンバーの移り変わりがある中でもずっと変わっていません。誰かが他者を許容できないこと、そして「ルールが厳密でなければ何もできない」という先入観から議論を激化させ、余計な時間を消費してしまうという本質は同じです。
「こんな会社があってもいい」
を体現しようとしたはずが、そう簡単ではないようです。
僕自身は1年目の途中から内部的なルール作りにはあんまり意味がなくて、具体的な活動をネットで発信していくことのほうがよっぽど大事だと感じていたので相変わらずマイペースを貫きました。
よく会社について「こんな苦労があるんですよ」と他者に語っても、
「まぁそいういう困った人はどこにでもいますからね」
「人がそれだけ大勢集まったら揉め事も起きますよ」
と、あっさり片付けられてしまい何の特別さもないことが多い。
こうした体験が後に生きることは無いのだと悟りました。
ほかのニー株メンバーや元メンバーがネットで語る「揉め事が多い」っていう話も具体性に乏しく、伝わりにくい内容のものが多いでしょう。それはほとんどの場合、実態のある業務や企画を行動に移す上での出来事ではないからです。
こうしたルールづくりのための議論はニート株式会社のメインコンテンツではありません。
最初のテーマ自体は変わってません
僕自身が興味を惹かれてニー株に参加したのは最初の「設立メンバー募集ページ」の内容にとても共感したのがきっかけです。
・日本の労働社会は古い形式に縛られ、それに順応しない者には厳しい。
・労働社会に順応しない(できない)ニートたちも、独自の価値観や独自の経験を持っている。
・そんなニートたちのできることを生かし起業しよう!
と、このような感じの。
2020年現在行っている新規募集サイトの内容は相談の結果、「居場所づくり」にフォーカスの当たったものになっていますが、これはちょっと守りに入ってて心に響きづらい内容だなと思っています。
サイトづくりの中で
「ニー株に入ってもお金が稼げるわけじゃないから、商売を前面に出して期待させると勘違いさせてしまう」
という意見があったのですが、それは違う。
そうじゃなくて、
「期待をして勘違いをすることによってその気になり、自分自身のモチベーションを高めて何かを成す」のです。
僕がやってるレンタルニートも、プラモデル製作代行も、
「人と遊んでお金を得る」、「人のプラモデルを作ってお金を得る」
という
「ニート的浅はかな発想」っていかにも言われてしまいそうなものです。
また、稼いでいる額も月数万円に過ぎません。
しかし僕はこれによって元々の趣味をわずかずつ仕事にし、自分自身の発想を実現させることができました。
旅行同行で初めて北海道に行ったり、初めて1人で新幹線に乗ったり、初めてキャバクラや風俗に行ったり、富士急ハイランドに行った翌日に東武動物公園に行って全力で遊んだりしました。
ガンプラのパーフェクトグレードで4万円以上する高額キットを作る機会も得ました。
ゲスい言い方をすれば全部人の金で。
どれもニート株式会社という存在に期待を煽られたことによって、自分の知識や能力を信じて動きだしたからです。
設立当初に比べ勢いがなくなっているとしたら、こうして期待を煽ってその気にさせ、行動を起こさせる雰囲気だと思います。
「居場所」や「コミュニティ」ばかりを主張しても、なんか宗教とかネットワークビジネスみたいで怪しいじゃないですか。
従業員を募集しているわけじゃありません。
募集しているのは経営者たる取締役です。
動き出したいニート集まれ
募集ページに提案したけど採用されなかった文章をここに書いときます。
「メンバーには他人に厳しく自分に甘い人、メンタルがおかしな人、口だけでなかなか動き出さない人など、しょうがない大人たちもたくさんいますが、それでも取締役メンバーは自分の好きな仲間たちとの新しい取り組みを自由勝手に行い、たまに何かを成すこともあります。」
いい歳してしょうがない大人でも、
実力が伴ってなくても、「なんかやれる気がする!」っていう状態になることから何かが始まります。
加入当時25歳だった僕も31歳になりました。
30を過ぎて大した稼ぎもなく、こんなことを堂々と自由に語れる場はなかなかありません。
稼ぎのあまりないレンタルニートが通常の会社の企画だったらあっという間に打ち切りでしょう。
こうした実現性に乏しい商売を真剣に語り、その気になって動き出すための場を作りたいと、いま改めて考えています。
新型コロナウイルスにより様々な業種が休業を余儀なくされ、仕事が減った人、人員削減で解雇された人もたくさんいる時代です。
テレワークも注目されています。
「企業に勤めていれば安定というわけじゃない」
「引きこもりでも自宅にいながらして仕事ができるかもしれない」
というニート的な発想についてはまさに正しかったことになります。
ぜひみなさんの偏った価値観、偏った能力を生かし
この先の未来を切り開くためのきっかけにニート株式会社を使ってください。
中身は別に何もないです。
オフィスも、事業資金も、ソフトウェア開発環境も、独自の新人教育システムも何もありません。
そんな何もない会社にかつて大きな期待が集まったということは、中身が空っぽでも人々の期待を集めることはできるということです。
まずは自分の能力に期待していきましょう。
応募はこちらから。
NEET株式会社 取締役追加募集2020特設サイト
※ニート株式会社の説明はとても難しいため前提となる話が伝わっていない可能性があります。質問等ありましたらメールなどで連絡ください。
記事書いた人:
仲 陽介(なかさま)
メール:
dsq2165@gmail.com