都会の虚無

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超私のりこ

「JK文学」と評される乱暴な日常のキリトリが売りの第2期取締役。

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この前、友達と六義園という
駒込の緑豊かな場所に向かった。
そこは、日常の喧騒を少しは忘れてさ、というような
わざとらしい優しい雰囲気と
広さでもって
私たちを抱きしめました。

私は、そこに桜を見るという
季節感のある目的のために
半年ぶりにその女子大生の友達(バイトの後輩)と会って
アイスを食べたり、話をして
つまらない一日を彩る努力を
かましていました。
友達は探偵みたいな格好をしていたので
私はそれをイジるのを何度かやったら
飽きて来てやめました。

彼女は頭がよくて
不器用な生き方や考え方を
する人です。
私はよく
人の欠損している部分を
好きになるため
こういうまともでない人が
そばにいてくれるんだと思う。(ニー株でも同じことです)
そしてその日も
葉っぱの形を方程式であらわしたいという
幼い頃からの夢を
打ち明けてもらったのですが
そのことをどのように
受け入れたらいいの、
まず何を言っているのでしょうか?

それでその後はデニーズ。
ファミレスでサラダを食べる若者
というどこにでもありそうな街の風景の
一部になりました。
そして一日の様々なことを振り返るという
模範的な流れが始まります。
くだらない流れに
気がつかないことは
人の人生で最も大切なものの一つです。(しかし気がつきました)

すると隣の席に親子がやって来ました。
母と娘です。

「せまいわね!」
「ほら自分の目ん玉でメニュー見て決めて!」
「5分で食えよ!!」
とお母さん。

娘は「・・・・。」
押し黙っています。
制服姿のその高校生は
小枝の先っちょみたいな、
とんがった目で
静かにお母さんを見ています。

目の前では、友達が
「今日は楽しかったね」という
顔をして
何か笑顔で喋ろうとしています。
が、どこのだれかもしらない親子の
とある日の夕食のほうが
気になります。

「もう仕事のイライラを私にぶつけないでよ!」
娘は怒りながらも飲み物を飲もうとすると
口にふくむはずのそれは
タタタタっとまっすぐに
制服のひざに落ちました。

「やばいやばい」と
いきなりすこし笑って
「クリーニングださないよ」
とお母さんがすかさず言います。

そうして娘は
ハンバーグを食べきらないうちに
もう帰ると言って
席を立っていってしまいました。
残ったお母さんは
静かにいちごパフェを
口にしていました。

私と友達はデニーズをでて
満員電車の中ですしずめ状態の中にいました。
前の駅で非常停止ボタンが押されたわけは
急病の人が出たからです
というアナウンスを
たくさんの背広に囲まれながら聞きました。
電車のドアは開いているので
どんどん人が入って来ますが
進みようもありません。

このままクラッシュされたなら
私と友達は一つになって
自分も葉っぱを方程式であらわせるようになるな
思いました。
そしてとなりのおじさんたちともMIXになって
ファミレスの親子の孤独さえも
簡単にのみこんで
寒いも暑いもない
春のおだやかな気温の夜に
なにも不足はないところにいきそうだ
とおもいましたが
電車はやがてうごきはじめ
次の駅でたくさんの人を
吐き出しました。
私は背広だらけのすきまからぬっとでている
友達の顔に
またねと呪文のようにいって
洗濯機みたくくるくる回転してから
外に出て
息を吸いました。

(◇写真◇は、鯉と桜。)

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