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「ものづくり」という言葉は、最近は、あまり好きではない。
「私はソリューションという言葉が嫌いです。」
とか、
「私はWin-Winという言葉が嫌いです。」
という人がいるが、私のこれも、その類いかもしれない。
物作り講習をする人の何人かは、ものを作ったこともない人も多い。
「物を作る」という範囲は結構曖昧だ。
はんこを作る人から、切り子細工を作る人、歯車を作る人とか、
物っていっぱいある。
講習では、おもに電気製品の生産について話している。
それは、中国で家電の生産が増えたため、その品質が低下して
いまこそ日本の品質基準、「メイド・イン・ジャパン」という
話が人目を引くから。
いや、メイド・イン・ジャパンが良いとは限らない。
作ったことが無い製品は、日本だろうがどこだろうが品質は悪い。
経験値が少ないと品質も安定しない。
だから、何も作っていない日本で、昔のルールで製品を
作っても、品質が良いとは限らない。
生産ラインで物を作るということは、
企画と営業の打ち合わせ、企画がコンセプトをデザインに指示、
デザインが機構(メカ)や回路設計、新製品のメーカーのアイデア、
その他の要素を聞いてイメージから商品デザイン画を描く。
それを元に企画と営業が、どのぐらいの市場規模と需要があるか、
製品ターゲットと重点的な要素を説明資料にする。
企画が通ったら、それを元に機構設計、基板設計、部品関連、
部品のデリバリー関係、ソフトウェアエンジニア(PCの場合は、
バイオスやドライバー、アプリケーションソフト、システムOS等)、
品質関係が集まり、設計構想を確認して、企画の通り出来るのか、
ターゲットとコンセプトにズレはないかを確認。
そのズレや実施の設計コスト、生産コスト、設計リスク、
品質計画などをまとめて企画や営業に返す。
この時に生産や部品デリバリ、輸送・物流、ドキュメント、ソフト関連、
同梱アクセサリー、サービス、なんかのコストも算出されてるハズですが
その部分は違う製品を参考に引用されている場合は有ります。
と、ザックリ描いてもこれだけの部門と関係がある中のどの部分を
担当していたのかによって違ってくる。
物の規模によるというはなし。
ビル建物だと、さらに桁違いの関係者がいる。
車とかもそう。
でも、中国の企業から製品のデザインを変えて輸入している場合は、
日本側は2~3人で生産してたりする。
大体のことを中国の企業がやってくれるから。
安全関係の試験もすべて中国の企業が行うことが出来る。
一口に、「ものづくり」とはいえないはず。
だから日本の生産で品質を上げましょうというのは、
今や心霊商法的な臭いもする。
品質っていっても幅があるし。
よく知ってる品質は、割り箸だ。
ラーメン屋で割り箸がうまく割れていないことは、何人もいる。
自分も割り箸がうまく割れないときもあるし、割り箸の割れ方で
占う割り箸占いがあるとか、ないとか。
とにかく、割り箸は、うまく割れないことがある。
あれ、何で、割り箸を不良だと言わないのか。
それは、割り箸がきちんと割れるのは、「ある程度」という
認識と、「自分の割り方が悪い」という経験で成功した例から
扱い側に責任があるという認識があるからだ。
誰かが、「このメーカーの割り箸、最低」って言えば、
それは途端に炎上するかもしれないけれど、割り箸に対して、
そんなに期待はしていない。
だめなら、別な割り箸を使えば良い。
その一方で、たまに落ちる飛行機には乗らない。
絶対落ちないから、みんな乗っている。
少なくても、自分が乗った飛行機は落ちないという自信の元に。
まあ、全く、落ちないから信用を得ているんだけど。
このレベルは「全く発生しない」というレベル。
でも、車でも何でも必ず故障はつきもの。
飛行機もそうじゃないの? と言う人がたまにいる。
それは違う。車のような故障が起きる確率が残っている物に対して、
飛行機は全く発生しないシステムで成り立っている。
自転車は古くなると故障するし、電球はいずれ壊れる。
電池は使うと劣化するし、品質のあり方は物によってまちまち。
それは、製品ごとに狙った品質が違うから。
そもそも、はじめから違うのだ。
割り箸は、ある程度不良が有ってもいいと思って作っている。
人は動作が入ると、製品の責任ではないと思う割合が増える。
だから、割り箸には結構寛大でいられる。
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