技術部の壺の中 — Vol. 55 [品質-飲料水の場合]

The following two tabs change content below.
みのむしクリップ

みのむしクリップ

主に電気関係で仕事をしてきたけれど、気が付いたとき、日本の電機の会社ってほとんどなくなっていた......... そんな需要のない今を 日々生きています。
みのむしクリップ

最新記事 by みのむしクリップ (全て見る)

[飲料水編]
このカテゴリーは、生産後に時間と共に劣化する製品。
電球や電池も少しずつ劣化はするが、ユーザーの手に渡るまでに
劣化することは少ない。しかし、
在庫30年って感じの駄菓子屋のレベルだと、それはとても危険な
感じかしてしまう。
品質は、購入者が手に持ってお金を支払う瞬間に、保証の効果を
なくす。それだから、受け取った方はお金を払う前に、不良を
返品して良品と交換してもらうため、検査する。
受入検査を行う理由。

でも、そんなに大量にすぐに検査が出来ない。
→生産で使う時に不良かどうか判断すれば、一石二鳥。
不良だったら、生産ラインでNGになるし。
だから、納品から90日ぐらい不良品交換の時間を延ばして。
という感じで、3ヶ月ぐらいの間、着荷不良として対応している
メーカーもある。そして、受入検査を省くことによって、コスト
削減!!!って、ことになっても、自分のラインに不良品を無条件で
受け入れる仕組みの完成。
本来ダブルチェックの仕組みが、ライン上だけの検査でまとめ
られてしまう。
不良が出たら、生産ラインも少なからず時間損失が出る。

一方、押しつけられた生産ラインの責任は重大だ。
だって、
「これは不良の発生が少ないし、別の作業で触るから省略
してもいいよねぇ。」
って、省略して、製品が進むと
「ここの試験は簡略しよう。」
と、テストされるハズの部分を含んで、別なタイミングで
まるっと省略。部品納品から出荷までノーチェックの
完全不良出荷ラインが完成する。
市場で不具合が発生した時、こぞってみんな怒られる。
理由も良く判らない。バレーでボールを誰も拾わなかった時の
様に、誰かがリカバリーすることを譲り合ってしまった結果の
不幸といえる。誰しも自分のグループのコスト削減はしたい。

飲料水のカテゴリーにもどるね。
他とは何が違うかというと、
飲料水は、原料の状態では品質が安定して検査もしやすい。
劣化も時間と共に安定していて、どのぐらいでダメになるのか
把握もしやすい。賞味期限は1年とか、6ヶ月とか、そう言う
時間以内に消費してくださいと明記している。
電気の部品なども、メンテナンスの時間や、材質の変異などで
保証する時間を限定している。

しかし、
生産に使ってから、生産して出荷した後など、部品の工場から
出荷したあとに、どのぐらい安全に使用できるかは、環境と
時間によって変化する。

飲料水関係は、この環境と時間変化が著しい。
もともと、扱いが良く、出荷状態や製品管理の手法で、
安定的に生産できた品質が、保存状態によって変化する。
または、輸送状態によっても変化する。
つまり このカテゴリーは、生産時にほとんど問題が出ない、
または分からないが、生産後の保証期間内にユーザーの扱いで
品質が悪化し、クレームになる可能性が高い製品。

販売や流通の経路で、どうなるかなんて分からない。
賞味期限がはっきりしている食品は、少しはすくいようがある。

ゴムや樹脂、接着剤などのマテリアル関係は、保存温度や加工の
方法で品質が変わりやすい。ユーザーの自覚が有れば良いが、
保存している人と使う人が違う場合は、責任が曖昧になりやすい。
材質内部の気泡が、飛行機に搭載した時に膨らんで不良になったり、
接着が不均一で、ムラになったことが分からないまま、太陽の熱で
伸びて表面がまだらになったり、塩化ビニールの材質と接して
収納されていて、材質が張り付いてしまったり。

ユーザーが使い方を知っていれば良いが、そう言う説明は一般的な
注意書きで書かれているが、ユーザーの認識が薄い。
それに対して保証期間は1年間とか書かれている。
どの時点から1年なんだろう。
飲料水は、保存の年月日が書かれている。
しかし、合皮などの樹脂製品が生産されて3年も倉庫に眠っていて、
その後売られているとしたら、4年を経過した時まで保証対象では
無いはずだ。

この品質の責任が誰にあるのか、どうするとみんな被害を受けずに
穏やかに暮らせるのか。
それは、ユーザー側への啓蒙(説明と理解)しかない。

何がダメ、使用しないでください、とは書いてあるが、
保存には何に気を付けるのか、劣化する原因はどういう条件なのか
そんな対処方は記載されていない。

接着剤の使用期間や保管方法。
キャップの取り付けをどうすると良いのか判らないけれど、
使う時に、大抵、キャップが接着されている。
大抵、一度使ったらおしまい。開封後1ヶ月ぐらいなんだと
思うけど、そう言う認識は薄い。

電化製品によく使われているラバー素材。
メーカーは割と自慢げにそういう製品を店頭に並べる。
3年ぐらいで、ベトベトか硬化のどちらかになる。
どうして長持ちしないのか。人の油と接触したら変化するから、
たまに中性洗剤で脱脂した方が良いのか、全く不明だ。
気がついたら、何かにくっついているから、被害も大きい。
これは製法上の問題で、出荷時は問題が無く、ユーザーが
使用している期間内に不具合が発生する。
問題発生時、1年は経過しているから、製品としては問題が
ないけれど、企画としては問題になる。
メンテナンスがユーザー側に依存されている製品なので、
こういう問題は、今のところ解決の方法は見えないし、
しばらくは、世の中的にも改善されないと思う。

関連ブログ
技術部の壺の中 — Vol. 46 [ものづくりと品質]
技術部の壺の中 — Vol. 52 [品質-ガラスの場合]
技術部の壺の中 — Vol. 53 [科学の進歩の種]
技術部の壺の中 — Vol. 54 [ウェアブルカメラの課題]

スポンサーリンク