技術部の壺の中 — Vol. 09 [リチウム電池 – 不良と廃棄]

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みのむしクリップ

主に電気関係で仕事をしてきたけれど、気が付いたとき、日本の電機の会社ってほとんどなくなっていた......... そんな需要のない今を 日々生きています。

リチウム電池がスマホやモバイルバッテリーに使われていることは
みんなよく知っているし、よく使ってる。リチウム電池は放電オンリーの
電池もあるから、ここで言いたいものは、充放電出来る電池の話。
放電オンリーは、一次電池、充放電出来る電池は二次電池というけど、
こう言うのって、決まり事に過ぎないので、一次二次に構造的な
意味づけはないから困りものだ。二次って何って疑問を持つだろう。
二次的に使えるからとか説明しても、二次って何だよって言われる。
ただ、「電池」と「充可能な電池」だけの区分けで良かったはず。
英語もそうだし。
日本の技術のゆがみは、この置き換えが意外と多い。
モバイルとか、ポータブルとか、ハンディとか。

充電式のリチウム電池は、危ないとか燃えるとか言われる。
でもね、多分1億個以上使われているのにそれしか壊れないの?
という話もある。
日本人は1億人ぐらいいるけれど、
ガン – 29%
心筋梗塞 – 15%
肺がん – 10%
脳溢血 – 9%
老衰 – 6%
事故 – 3%
事故でも3%も発生する。
それから見るとリチウム電池の不具合は少ない。
でも、文句は言われるだろう。

世の中には「不良率ゼロ」が求められる物がある。
飛行機や新幹線の公共の乗り物や、人工衛星などの1つしかないもの。
0.01%の不良率の飛行機、一万回に一回しか事故りませんって言っても
誰も乗らない。
だから、寿命とは別に定期検査をして、事故が発生しないようにする。

寿命まで使えるという考えは良くない。
誰でも寿命を迎える瞬間までは元気だから、いつ、明日使えなくなるか
わからない。だから、寿命の前に交換したい。
HDDが死んだとき、そのダメージに当分立ち直れない気分を味わう。
普段から寿命は目安と思う方が、穏やかに生きていける。
一般的には、MTBF=平均修理間隔と言われている。

それに、人の死因は、寿命以外の要因も多い。
まあ、年を取ったから、それ以外のリスクに弱くなる=寿命
という、考え方もあるとは思うけれど。。。
大抵、寿命まで正しく動く事は出来ない。
製品寿命も、世の中的経験則から生存率は、68%。
半分よりもすこし多い程度。平均寿命を越えて生きる方がやや多い、
ということだけれども、平均寿命まで生きることは難しい。
平均寿命は、希望のラインでは無く、絶望のライン。

リチウム電池は、重度の問題を回避したいのであれば、
異常が発生したときに使用をやめることだ。
・充電時に50度以上に高温になる(金属は持てる限界程度)
・1m程度の高さからコンクリートや硬い床に落とした事がある
・火花が見えた
とか。
捨て方は、放電出来る状態であれば、瀬戸物か植木鉢のような
燃えにくい物を下に引いて、放電する。使い切るという意味。
モバイルバッテリーの場合は、スマホを充電させてもいい。
とにかく、ゆっくり放電してエネルギー密度を低くすることだ。
速く放電すると、電池内部の化学変化で熱を出すから。
放電したモバイルバッテリーは、燃えるゴミで捨ててもいいぐらい。
一応、自治体の指導とかあったり、リチウム電池は回収対象でしょ、
って話もあるけれど、回収した電池から価値があるほど
リチウムは回収できない。燃やした方がいいぐらい。
塩水につけるとかあるけれど、意図は食塩水でゆっくり完全放電を
狙ってのことだろう。
ドローンのバッテリーとか、良くこういう指導を見るけれど、
ドローン用の電池は、急激に放電するように作られているので、
危険予防処置かもしれない。
ただ、浸けた塩水は、重金属の廃棄物対象になることもあるので、
廃液処理の方は注意が必要かもしれない。

放電したリチウム電池は、保護回路をもつものは3.5V程度になる。
場合によってはそれよりも低いかもしれない。
リチウム電池は3V~2.5V以下の電圧になると、エネルギーが低くなり
トラブルに対して重度の問題を引き起こしにくい。
エネルギーがそれほど残っていないから、潰れても問題は起きにくい。
放電第一。
でも、この状態になった電池を充電して使ってはいけない。
そのための保護回路で、低い電圧にならないように保護している。
過放電後に無理に充電する事によってトラブルを招く。
不活性層の損失による電池の膨れる原因につながることもある。
また、
電池は言うほど簡単に廃棄させてくれないことも、世の常。
買うは易しい、廃棄は難しい。
世の中にゴミ屋敷ができあがるのは当然だ。

関連ブログ:
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