裁判傍聴記

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超私のりこ

「JK文学」と評される乱暴な日常のキリトリが売りの第2期取締役。

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ニー株のみんな
10人くらいと
初の裁判の傍聴に
いってきた。

日本昔ばなしに
出てきそうな
おばあちゃんが
窃盗犯で
ピンクのハンカチを
目のところに
おしつけて
泣きマネを
はじめたので
口に手をあてて
こらえたけど
一緒に行った仲間は
全然笑ってなかった。

その後に
デキる女です
って感じの
女検察官に
重箱の隅をつつくみたいに
責められ続けて
途中から
ほんとに
泣いていたんだろうと
思った。

こういう真面目なところに
おもしろいことは
かくされているもんだ
と思う。
テレビで見てるのと
同じような
コントみたいな
空間の中で
ニコリともせず
ものをしゃべる
検察官も弁護士も
裁判官も
人として壊れている
とみえて
そうしたら
一番人間らしいのは
犯人だよ
という
立派な結論に
たどりつけて
よかった。

裁判所の
無機質な廊下は
どこまでもつづき
蛍光灯の光を
強く反射した。
そして
なんのエンタメ性も
ないことを
わびるように
トイレだけが
ぽつんぽつんと
近距離に
設置されていた。

どしゃぶりの雨がやみ
夕方の霞ヶ関に
日差しが降り注ぐ時間
私たちは
裁判所を出た先の
広い喫茶店の隅っこで
わいわいと
たわいもないことを
喋っては
アイスを食べた。
自分も
牢屋に入ることが
ないなんて
いえないかもしれないのに
私は
まっとうな日常の
わずかなすきまに
かくれている幸せを
しっているような
安心に
ひたっていたかった。

喫茶店をでて
公園で
ブランコを
ガンこぎして
自由の象徴に
なりきって
一日が終わる。

当たり前の生活が
突如消えようとする
見ず知らずの人の
苦悶や
過去や欠点が
ひとつひとつ
私たちの前に
置かれていくことは
こんな機会でないと
ないんだろう。

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