技術部の壺の中 — Vol. 10 [リチウム電池 – 寿命と充放電]

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みのむしクリップ

主に電気関係で仕事をしてきたけれど、気が付いたとき、日本の電機の会社ってほとんどなくなっていた......... そんな需要のない今を 日々生きています。

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リチウム電池は、スマホやドローンに使われている平べったく
柔らかい材質とモバイルバッテリーに使われているちょっと
重い円筒形の電池など。
それ以外も区分けはいろいろ。
最近復活した電圧高いめの三原子、ポリマーorイオン、アスファルト?
とか。

基本的な寿命は、700回の充放電(40%~80%充放電時)がカタログ値。
100%満充電、完全放電をするとこの回数は300回ぐらいに落ちる。
大抵、5% <–> 100% の間を行ったり来たりして使っている。
だから、一年間使うと寿命がくる。でも、
「えーーーっ、2年ぐらい使えるよ??」と思う人は多い。
それは、メーカーが80%の容量が確保できている性能までを
寿命として定義しているから。
一般的な感覚では、まだ変化に気がつかない容量だと思う。
「なんか最近バッテリーがへたってきたな。寿命かな。」
というときは、大体50%ぐらい使えなくなってきて感じると思う。
この差が寿命の捉え方として違いがでる。
真面目な営業が、販売の時に話がかみ合わない原因になる。
まあ、1年しか使えないものなんて売り方も難しい。

バッテリーは寿命が来ると、熱くなるとかのトラブルが起きると
思っている人がいるけれど、そんなことはない。
まあ、放電や充電でエネルギーが出入りするので、損失分が熱に
変わって発熱はする。でも、
電池は使うほど、寿命がつきるほど、だんだん発熱しにくくなる。

バッテリーの電極表面には不活性層があり、これがリチウム電池の
動作の鍵になる。
充電するとこの層が厚くなる。放電をすると痩せていく。
充電を繰り返すと、この層がだんだん厚くなって、電子が通りにくく
なる。やがて電解質との電子のやりとりが少なくなって、それで
容量が低下したように感じる。
だんだん貯められるエネルギー量が減っていき、エネルギー密度も
下がるから、発熱も起こりにくい。

逆に、充電回数が少ないまま、充電して放置すると、不活性層が薄く
なり、層にホール状のすき間ができる。
その層の穴を通って、電極と電解質の間で電子を直接やりとりして、
電解質が分解され膨れる。長期保存して、
気がついたらとっても膨れている、ってのは、この現象。
その状態で充電すると、層の穴を通して、電極から電解質に電子が
通過して、電解質がさらに分解される。
過激に分解するから、良く膨れる。
この時、分解されているから、熱も出る。
分解された気体は、二酸化炭素だけど、一酸化炭素も含むから、
燃えたりする。でも、そもそもそんなに量は多くないので、
大事には至らない。

リチウム電池は買ったらすぐに、ちょこちょこ使いした方が
長持ちする。

不活性層は、とってもデリケート。高い電圧等でも破壊されて
しまう。充電制御が良くないチャージャー回路で充電されると
電圧が高くなり、過充電になって、とっても激しい最後を迎える。
チャージャー回路が要(かなめ)だから、モバイルバッテリーは
きちんとしたものを買った方が良い。
でもね、今時、メーカー品でも中国から購入されているので、
日本で販売している会社がどういう品質を要求して、テストを
しているか、その判断は難しい。
中国製が悪いわけではない。
「安く作れるなら、適当でいいよ。」といって買い、日本でも
ろくにテストをしていなければ、リスクは買った人が丸かぶり。
PSEは取っているから、ルール通りに作っていても、信頼性は別。
このあたりの対応が、不幸の連鎖の始まりだと思う。

関連ブログ
技術部の壺の中 — Vol. 07 [製品品質 – 気持ちの寿命より家電は短命]
技術部の壺の中 — Vol. 08 [相乗効果 – 改良と誤用のマリアージュ]
技術部の壺の中 — Vol. 09 [リチウム電池 – 不良と廃棄]

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