2020年指定図書- 「キャパとゲルダ」vol. 5.5 読書感想文 サンプル3

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みのむしクリップ

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主に電気関係で仕事をしてきたけれど、気が付いたとき、日本の電機の会社ってほとんどなくなっていた......... そんな需要のない今を 日々生きています。

テーマ2 [共感編] – 「共同作業」中心に書いてゆく。
朝、久しぶりに早く出たら、学生達が通学していた。まじかーーー。やっぱり学校始まってるのか。


キャパとゲルダと取り巻く被写体達
「キャパとゲルダ 2人の戦場カメラマン」を読んで

この本を選んだのは、ロバート・キャパという人物を知っていたし、『キャパ』と言う同じ名前のカメラ雑誌を書店で見たことがあるので、興味を持ったからです。
内容は、ファシストによるユダヤ人排除によってパリ移り住み、ギャバとゲルダは出会う。写真を仕事として人々を被写体に写真をとり、仕事の依頼がとれるようになった時に隣の国のスペインで内戦が起きた。そして彼らは新たな被写体を求めて戦場カメラマンとして戦地に行き、起こっている事をパリの人々に伝えた。彼らは世界的に名の知れたカメラマンになった。しかし、この戦の中でゲルダを失い、この後続く第二次世界大戦、ベトナム・インドシナでの戦争を経て、戦地でキャパも地雷を踏んで果ててしまう。

写真は情報を伝える新しい手段として使われ、当時の人達は写真雑誌を買い求めた。
1935年のヨーロッパでは、ファシストと反ファシスト、デモや労働者運動など、得たいと思っている情報も多く、そういう情報を人々は、「いま、ここ」で起こっている事として欲していた。そんな時に手軽に写真がとれるコンパクトなカメラが発売され、キャパやゲルダが活躍するきっかけになったと思う。
また、こういった時代の最先端の機器を使って、情報を提供する手法は、現代のSNS社会と似ている。今は、ユーチューバーが人気の職業だ。いつの時代も、これは変わらないのかもしれない。
違いは、対象が面白動画か、戦争かの違い。伝える意味を忘れて、求められるままに過激になると、ユーチューブ動画では『迷惑動画』をアップロードして炎上する。戦場カメラマンでは、命を落としてしまうし、キャパもゲルダも最後は戦場で命を落としてしまう。要求に流されずに、カメラマンとしての範囲で離れて仕事をすれば、命を落とすことは無かったのかもしれない。戦地をとりたいという欲求の反面、キャパ自身は戦地が怖かったようだ。
文中で次の様な記述がある。
~「敵を見たいのです」キャパは答えた。「われわれは、まだ敵に遭遇していません」<中略>銃撃がやんで三人が立ち上がると、動揺したキャパは便を漏らしていてズボンを汚していたので、ちょっと待ってくれ、と声をかけた。~
彼自身は戦地に恐怖を感じていたと思う。いつか死んでしまうと。
スペインの内戦が始まって1年余りの1937年の秋には、彼らはヨーロッパを離れて中国に行く予定だった。ヨーロッパの人達が興味を引く対象が他にあるなら、この戦争にこだわらない。そう考えていたようだ。
しかし、ゲルダの死でそれはかなわなかった。そしてその出来事が彼を戦場に留めるきっかけになってしまったように感じる。実際、彼の名声は高まったし、ドイツ(ファシスト)がヨーロッパを飲み込もうとした時に、キャパがそれほど有名で無ければ、アメリカのビザをとり、アメリカに渡ることは出来なかっただろう。
アメリカに渡り、一度は戦地を離れるが、ノルマンディー上陸作戦の従軍カメラマンとして、再びヨーロッパに戻ってくる。『とるべき被写体に近づきたい』そういう思いがあったのかもしれない。キャパは写真について、こう言っていたという。
「写真にどこか足りないところがあるとしたら、それは十分に近づいていないからだ。」
近づくことで得られる躍動感、リアリティーがその写真に封印されていく。
すでに彼はかつての臆病なカメラマンではない。前線に立つ戦場カメラマンとして、自身の役割を自覚したのだと感じる。このノルマンディー上陸作戦の写真が、「二十世紀で最も重要な記事」としてアメリカのライフ誌に掲載された。キャパの存在は伝説になった。
力を得たら、仲間に再分割する。キャパとその仲間達は、カメラマンが著作権を主張できる為のフォトエージェンシーをつくる。自分達の著作権という権利と自由を守ることで、更に自由な写真表現が出来る様に人々を導いていく。
戦地に近づき、前線を追いかけたロバート・キャパ、世界で最も有名な戦場カメラマンになった時でも、多分、ゲルダ・タローと写真を求めてスペインの内戦に参加したときの方が、楽しかったのではないかと思う。どうすれば被写体をうまく写真に閉じ込めることが出来るのだろう。ゲルダと共同作業を勧めている時間の方が希望を感じていただろうと思えてならない。
形が見えたときより、見えないときの方が不安で、より自由で、そして力不足ながらもリミッターがかからない思い切った表現が出来ていたと思う。

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