笑い

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超私のりこ

「JK文学」と評される乱暴な日常のキリトリが売りの第2期取締役。

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代表取締役と若新会長とで
神谷町のお寺に行った。
着くと、ほうきを持たされ、
境内の掃除をさせられた。
私はこれを、させられた、という言い方をしてはいけない。
私たちは、掃除をさせてもらった。
私たちはその日、おはなしをさせてもらうためにそこに行ったのだ。

たくさんの黄色い落ち葉は、前日の雨のせいで
一枚一枚セロハンテープでくっつけたみたいに地面に張り付いていて、
それを巨大なほうきで集める作業は、
豆を箸でつまむより難しいことだった。
途中、アウターキーさんがしゃがみこんで
なにをするかとおもったら、
手で落ち葉を一枚一枚摘んでいき
「こっちのほうが効率がいい」と笑っている。
私は、寺に代々伝わるとんち話をきいているかのような
愉快な気分になった。
なかさまも、ひどく個性的な(あるいはプロみたいな)風変わりな箒の使い方をして
とても楽しい。とろろいもさんは
小学生の掃除の時間を彷彿とさせるようなすばしっこい動きで
遠くの小さな葉っぱにも気をかけて集めてきていた。
遅れて登場した若新さんは、ごろにゃんごろにゃんと聞こえそうなくらい
お坊さんのそばでなにやら話をして充分なついている。
そのお坊さんが、きっと私たちを招いてくれているのだろうと
直感した。
みんなでやった掃除は、30分ほどで
かなり体が温まったし、きれいになった。
この世の落ち葉を一枚残らず箒ではける気さえした。

光明寺は、寺の中になぜか墓が一望できるオープンテラスが備わってる。
以前、私がみたテレビ番組に紹介されていた個性的で有名な神社で
私は一度そこに訪れたいと思っていた。
10人近くのみんなで、赤い絨毯の上で円形になってすわり、
本題の話しをした。
私の用意したお菓子をお坊さんはみんなに出してくれた。

「だから、みんなゴミなんですよ」
と若新さんはニー株メンバーのことを楽しそうに言った。
今までの、みんな天才だといって育てるやり方はまちがってました、
だから僕はみんなゴミだって言うようにしてます。ゴミなんで!!
と言う。
するとお坊さんも「親鸞も、みんなアホだよ、と言ったんですよ」と言う。
そこで一同笑いが起きた。

夕方、私たち代取の4人は、神谷町の散策に向かった。
外は寒かったけれど、
東京タワーの暖かな赤い光を初めて間近でみた私は
感動してしまった。
街はイルミネーションの競い合いみたいに
あっちでキラキラこっちでキラキラしている。
でも私は、東京タワーの光が一番綺麗だと思った。

中に入って、誰も買わないとわかっているのに
お土産売り場で時間をつぶして、それから
とろろさんのポケモンGOを楽しみながら歩き回って
どこかのガストに落ち着いた時、まだ18時を過ぎたころだった。
なにも話すべきトラブルも、責務も持ち合わせてない
名ばかりの代表取締役が
ガストテーブルをがっちりと囲んで
おのおのにファストフードを食べるというのはどういうこっちゃと、
私の心の中の長老がはぁとため息をついて笑ったきがした。
取締役も代表取締役もニートも、なにも変わらない。
おもむろになかさまは、自分の母親の愚痴とも冗談ともつかない話しを喋り出した。
それにとろろさんが
「親というのは自分の遺伝子が劣等種だということも気がつかないで子供に
完璧を要求する」という言葉を放つと、
私以外のみんなが笑っていた。

ガストを出るとさらに寒くなっていた。
東京タワーの真下に、またきたいと思った。


竹箒で、いつか空を飛べると思ってた。 

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