もう会わなくなった旧友と電車に乗っていた。
外はめっきり冷え込んでお互いコートを着ていて、多少の距離感はあるものの楽しく近況を話した。
夏の夜そんな夢をみた。
黄色の服を着たその人に初めて会ったときから仲良くなれたらいいなと思っていた。話してみたらよく似た二人で、私達は一気に距離が近くなった。
よく帰りに電車の改札口で数時間話すこともざらだった。
ちょっとした小さな違和感を見過ごしていた、小さなひびが入っていった事に見てみぬ振りをしていたんだろう、色々な要因でもう駄目かもしれないなと思った。相談に乗ってくれた友人達は「やめておきな」と忠告したがそれでも諦めきれずに私は自分から修復を試みた。
あっさりと関係は戻った。よかった!やっぱりこれでよかったんだ。
喜んだのも束の間、とても些細な出来事でもう二人にはそれは決定的なものとなったような気がした。運が悪かった、自分や相手が悪かった。どうとでも言える、でも違う。
「一度壊れたものは簡単には元に戻らない」それは当然の事だ、当然のことが起きただけだ。
人間は機械じゃない。修理してはい元通りなんてある訳無いとその時知った。
出会ったときより長い時間をかけて変化してもそれでもいいと思えたとき修復のその道のりは始まる。
そんな事が数年前のあの時分からなかったし、今もまだ分かっていなかったんだなって思う。
友と改札口で話していたのは、二人の帰る家が正反対だったから。
夢の中でしか同じ電車に乗る事はなかったけど、いつかまた会えたらいいな。
空が少しづつ高くなって夏が静かに終わっていきます。