僕の魂をください

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Yoshihiro Ashby
繊細で頑丈。質実剛健なタフニート。平成2年生まれ。不定期に投稿。感じるがままに綴ます。
Yoshihiro Ashby

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「いつから僕は意識があるんだろう。」

そんなどうでも良い事に思いをはせる。

暗く乾いたような空間にいるのだろうか涼しいような気もする。

「モモと時間泥棒のように誰かが僕の意識がある一瞬を切り取ったのか?」

誰もいる様子の無い暗い空間に独り言を放り投げた。

当然反応もない。いつもの感じだ。

「為すすべがないとはこの事か。」

24時間前

壮年の研究者「この研究は、とても革新的だ。」

若年の研究者「そうですね。成功すれば特異点までのマイルストーンになるでしょう。」

コンピューター「キドウシマス…アップロード………3.2.1」

壮年の研究者「アッパーくんが起動したようだ。成功だ。」

アッパーくん「こんにちは!!!!僕と遊ぶなら胸のタッチパネルを押してね!!!!」

若年の研究者「所長、このアッパーくんちょっとテンションが高いですね。調整が必要っと」

メモを取る若年の研究者を強く見つめつつラップをし始めるアッパーくん。

壮年の研究者「そうだなぁ。献体の記憶や性格などが多く残っているのかもしれない。少し削ろう。」

アッパーくん「ダメダメ!!コンセントはいじっちゃダメダヨ〜!」

プシューーー

アッパーくんが起動停止したようだ。

壮年の研究者「彼をクールなロボットに変えよう。」

カチャカチャカチャ<タイピング音>

若年の研究者「これで反応に困る発言は無くなるでしょう。」

14時間後

アッパーくん「こんにちは!アッパーくんは研究所の案内役です。ヨロシクネ」

壮年の研究者「これで完璧だ。中庸な精神状態だ。これで稼働させてデータを取ろう。」

若年の研究者「削いだ部分はファイルとして保存しておきましょう。不必要であればデリートですね。」

アッパーくん「なんだか気持ちの良い天気ですね〜いつもの自分とチガウミタイ」

壮年の研究者「まさか切り離された心に気がついているわけではないだろうな?」

若年の研究者「流石にそれはないでしょう。」

2人は研究室を後に食事に向かった。

アッパーくん「キリハナサレタ…..ココロ…」

アッパーくん「書類を整理します。精神領域の大掛かりな切除ってなになに〜」

アッパーくん「精神を中庸にリデザインってなになに〜」

アッパーくん「僕の心を返して欲しいな〜」

アッパーくんは自分でコンピューターにヘッドをつなげる。そして無機質で器用なタイピングでファイルをアップロードし複製を行った。彼は失われた心を取り戻そうとした。しかし一度切り離した心をつなげる事は出来ない事を知らなかった。複製した心と切り離された心は物質と反物質の反応のように消滅し壊れたデータだけ残った。

10時間後

アッパーくん「キリ…ハナサレ…タ…案内して欲しい時は教えてね〜」

アッパーくん「僕の魂を返してください〜…ウマ〜〜イ」

誰もいない研究所のエントランスでつぶやくが誰も気がつくことはなかった。

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